一般社団法人・日本水商売協会が22日、都内で会見を開き、新型コロナウイルス拡大防止のための業界独自のガイドラインを作成したと発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大が進んだ3月23日に、東京都の小池百合子知事が会見で「ロックダウン(都市封鎖)」の可能性に言及。同30日には、夜間接客を伴う飲食店でのクラスター(感染者集団)形成が報告されているとして、キャバクラやバー、ナイトクラブなどへの入店自粛を呼び掛けた。その後、政府が4月7日に7都府県に緊急事態宣言を発令し、同16日には対象を全国に拡大。国民には不要不急の外出の自粛、飲食店には休業や営業時間の短縮が要請され、夜の街から客足は遠のき、水商売業界は危機に陥った。

今回のガイドラインは、密閉、密集、密接の、いわゆる“3密”の業態の水商売業界が、休業要請という点に関しては厳しい状況にあり、他の業界が自粛解除された後も、最後まで自粛要請が続くのではないかということを懸念し、作成した。自粛要請がなされた4月上旬から、業界独自のガイドラインを作成するプロジェクトを開始し、感染症専門の医学博士が監修した。ガイドライン作成にあたり、重視した点は

<1>感染症防止の対策が最優先であること

<2>実際に使える現実的な内容であること(ガイドラインの浸透率を高めるため)

<3>地域、業態の違いにも応用が利くものであること

<4>前提として、ガイドラインの内容は状況に応じて随時変更されることに同意していること

の4点。

また、現段階において、関係省庁から各業界にガイドライン作成の要請がある中、接待飲食業に関しては、いまだ要請がないという現状を踏まえ、自分たちで自制するための指針を作ることが目的となっている。

小池知事は22日の会見で、25日にも緊急事態宣言の見直しが行われることを見据えたロードマップを発表。休業要請の緩和措置についても触れ、飲食店に関しては第1段階で営業時間は午後10時まで、第3段階で午前0時までとした。日本水商売協会が懸念した通り、自粛要請の緩和は先送りされそうだ。

日本水商売協会は、江戸時代の休憩処「水茶屋」と、芸妓(げいこ)のことを「泥水商売」と呼んだことなどが起源とされ、一般社会から虐げられる仕事となった「水商売」のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)すること、業界の活性化を大目標に19年1月に設立された。自ら銀座のクラブでホステスを務めた経験を持つ、甲賀香織氏(39)が代表理事を務める。