れいわ新選組の山本太郎代表が15日、国会内で会見し、東京都知事選(18日告示、7月5日投開票)への出馬を表明した。

これまで「五分五分」としていた山本氏が出馬に踏み切った背景の1つに、昨年の参院選で旋風を起こしたれいわと自身の存在感を示す場をつくりたかったのではないか、とする見方がある。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初、今秋ともいわれた安倍晋三首相による衆院解散・総選挙の時期は流動的。山本氏はコロナ感染が拡大する前、れいわの「全国行脚」を続けて各地で支持掘り起こしを進めてきたが、感染防止でそれも満足にできない状態になっており、党勢拡大には逆風が吹いている状態だ。

今回、小池知事が再選を目指す都知事選は、全国的な注目を集める場でもある。野党関係者は「そこに打って出れば、いやでも山本氏や、れいわの活動が、表に出ることになる。次期衆院選での『再旋風』をねらう山本氏にとっては、存在感を示すための『場』が必要だったはずだ」と、指摘する。

ただ、山本氏の出馬は野党の足並みの乱れにもつながりそうだ。野党第1党の立憲民主党が当初、山本氏を野党統一候補として擁立することを念頭に水面下で調整したが、山本氏は「れいわ公認」での出馬にこだわり、決裂。立憲民主は宇都宮健児氏の支援に回った経緯がある。山本氏と宇都宮氏の支持層はかぶるとの分析があり、立民などは野党支持票が割れることを強く警戒。山本氏の出馬には批判的な声がある。

自主投票としている国民民主党をはじめ、野党内には山本氏と経済政策の勉強会を重ねてきた議員もおり、野党の対応は一枚岩ではなさそうだ。

一方、れいわは昨年の参院選で、自民党に反発した保守票の一部も取り込んだとみられ、山本氏は今回、野党だけの枠にとらわれず、幅広い層の支持を得ようとするねらいもあるとみられる。東京という広い「選挙区」で、次期衆院選を見据えて、れいわの象徴でもある自身が、どこまで票を獲得できるか。そんな「シミュレーション」の側面もありそうだ。

国会関係者は山本氏の出馬表明について「ザ・山本太郎的とも言うべきか、良くも悪くも空気を読まない、山本氏らしい行動」と話すが、時に過激な言動を繰り返しながらも、山本氏の分析行動は冷静だ。今回の都知事選を、山本氏はどんな流れに結びつけていくつもりなのだろうか。