在外邦人有志一同の日本における代表者代行を務める斉藤貴博さん(51)が6日、在外邦人への特別定額給付金の給付を求めて、外務省に在外邦人の窮状報告書を提出した。

立憲民主党の矢上雅義衆議院議員とともに提出予定だったが、矢上議員が地元熊本県で豪雨被害に対応するために、帰京できず、矢上議員の秘書が同行して外務省領事局の担当者と面談したという。

インドネシアで発電・鉄道インフラ業務に携わる斉藤さんは、3月に一時帰国し、そのまま日本にとどまっている。今月中にもインドネシアに帰る予定だが、「私はあくまで代理です。声を上げなかったらこのままうやむやにされてしまう。海外に住む日本人の困窮している状況をお伝えしたいと思い、協力させていただきました」。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、世界各国で苦しむ日本人の例をまとめた資料を提出した。

約140万人存在するといわれている在外邦人への給付は、これまでもたびたび議論の対象になっていたが、その給付方法の困難さが障壁となってきた。「せんえつながら、手上げ方式を提案させていただきました。在留届の活用や、在外選挙人登録申請のシステムに似たような流れでできないかと」と明かした。

初めて在外邦人の状況を外務省の担当者と話し合ったというが、「丁寧に対応していただいた。総務省など各省庁と連絡を取って前向きに動いてくださっていることがわかった」と手応えを口にした。

今後について斉藤さんは「いろいろと相談しながら進めていきたい。野党の議員の方がプッシュしやすい部分もあるだろうし、自民党の内部のプッシュも必要。両サイドの協力が必要になる思う」と語った。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施されることが決まった一律の10万円給付。対象者は「基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者」とされている。

矢上議員は4月27日に内閣府、外務省、総務省に海外在留邦人に対する10万円の特別給付金支給についての要望書を提出。

日本政府は6月9日の閣議で、特別定額給付金について、在外邦人は給付対象外とする答弁書を決定したが、与党内からも在外邦人への給付の動きがある。