奈良県天理市の並河健市長(41)が20日、ラグビー部で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生している天理大の記者会見に同席した。同大学の一般学生が直面している教育実習受け入れ中止などに対し「過剰な防御反応になっている」と指摘した。

会場は市内の同大学キャンパス内で、隣には永尾教昭学長。市長が私立大に出向いて記者会見に臨む、極めて珍しい展開だった。並河市長は自ら「天理大学は私学です。『なんでお前が?』という疑問もいただきました」と切り出すと、決断に至った理由を語った。

「わが町の若い皆さまに対し、不当な扱いが出始めている状況。行動を取らないのは政治、行政にある人間として、仕事をしていることにならない。使命感で来させていただきました」

思いを伝えたい相手は、市民だけではなかった。

「単に天理大学だけの問題ではないです。決して願っている訳ではありませんが、皆さまの会社で(クラスターが)発生するかもしれません。同じ会社に属しているだけでご家族も含めて、不当な扱いを受けられたらどうだろう。『ひょっとしたら迷惑な扱いを受けるかもしれない』という風に、みんなが萎縮して活動してしまうと、社会経済活動を回していくことなど到底できない。ワクチンができるまで相当な期間があるでしょう。どのように支え合いながら、この期間を過ごしていくのか。社会のあり方が問われています」

時に冷静に、時に力を込めながら、言葉を発した。