菅義偉氏が自民党の新総裁に選出され、5歳年下の真理子夫人が注目を集めている。「とにかく、控えめな人ですよ」。真理子夫人について、田野井一雄横浜市議(79)はこう評した。87年、菅総裁の政治家の原点とも言うべき同市議に初当選した時から接点があり、衆議院に転じた後も「留守番隊長」として支える。電話で仕事のことを話し合うのをみて、「私には電話がかかってこないの。いつも田野井さんばっかり」と、嫉妬されたこともあるという。

国政選挙で当選するたび、支援者にお礼のひと言を述べ、スタッフらにもそっとあいさつして帰る。「いっさい表には出てきません。これまでのファーストレディーとは違うタイプでしょう」(田野井市議)。

官房長官として7年3カ月。「忙しい菅さんは、自宅に帰ってないはず。奥さんは議員宿舎に洗濯物を取りに行くだけだったと思う」とも話した。

政治家の夫を陰で支えながら、秘書には優しかったという。05年から約6年、菅総裁の秘書をしていた遊佐大輔横浜市議(39)はよく、「怒られていない? 大丈夫?」と声を掛けられた。常に8~9人いた秘書のうち、遊佐市議は叱られながらついてきた。

「職業・政治家、趣味は政治。1分、1秒たりともムダにしないかわりに、1対1の人間関係を重視されていた菅先生の下では、厳しく指導された。その厳しさを、奥様はごっそり優しさに回してもらえました」と振り返る。

仕事が終わるたび、「遊佐くん、いつもありがとうね」などと、感謝を述べられていた。この言葉が、真理子夫人の魅力でもあったという。