今年の「都道府県魅力度ランキング」で、7年連続最下位だった茨城県に代わり初の最下位になった栃木県で29日、知事選が告示された。争点は5期目を目指す現職福田富一氏(67)の多選の是非だったが、最下位転落で「魅力度問題」が争点に急浮上。福田氏も、新人で元NHK宇都宮放送局長の田野辺隆男氏(60)も魅力度アップを訴えた。毎回32~33%にとどまっている投票率が、魅力度問題でアップするかどうかも注目だ。11月15日投開票。

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福田氏は地元の日光市で行った第一声で、約20分のうち4分の1を魅力度問題に当てた。魅力度ランキングを発表するブランド総合研究所(東京)に出向き「言うべきことは申し上げてまいりました」と明かし、告示に合わせるように「魅力向上プロジェクト」を立ち上げたことを発表した。

プロジェクトは<1>U字工事、電撃ネットワークのギュウゾウら県出身の「とちぎ未来大使」による県民参加型イベント<2>魅力を伝えるCMコンテストなどにとどまらず、<3>北関東3県の連携も盛り込んだ。「最下位の経験があるのは栃木と群馬、茨城しかない。ビリ同士で連携し、北関東3県でブランドを高められるようやりましょうと声掛けをいたしました!」。

まだまだあった。「関西には『日光には行ったことがあるけど、栃木には行ったことがない』と言う人が今も多い。アンテナショップを関西にもつくり、観光キャンペーンに取り組んでまいりたいと思います」。シウマイ弁当の崎陽軒の創業者が鹿沼市出身である縁を生かし「(特産の)ニラを使ったニラシューマイを崎陽軒がつくってくれることになりそうです」と進行中のプランまで明かした。

告示直前に発表された魅力度ランキング最下位。県庁には約50件の問い合わせの電話が入ったという。県民の関心の高さに、魅力度問題は知事選の新たな争点に。一騎打ちとなる田野辺氏は「発信力で栃木を変える」と訴え「県のアピールが足りない。テレビで鍛えた演出力と説明力で最下位から脱出します」と、元NHKの強みを訴えた。

ただ、田野辺氏は熱が入るあまり「納豆にイチゴが負けてどうする。霞ケ浦に中禅寺湖が負けるもんか。鹿島神宮より東照宮の方がきらびやかだ」と失言。ツイッターで「深くおわび申し上げます」と謝罪した。

ブランド総合研究所の田中章雄社長は「知事選で争点になるのは初めてだと思う。47位になったことで『これはいかん』と県全体の魅力度アップに取り組むのはすごくいいこと」と話している。【中嶋文明】

◆魅力度ランキング ブランド総合研究所が2009年から発表。1位は12年連続で北海道。最下位は茨城県が圧倒的に多く過去10回。茨城県が46位で最下位を逃れた2012年は群馬県が最下位。42位に躍進した今年は栃木県が最下位で北関東3県が独占している。