安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填(ほてん)問題で、東京地検特捜部が21日に安倍氏本人を任意で事情聴取したことが22日、関係者への取材で分かった。特捜部は関与の有無を確認し、安倍氏が補填の事実を「知らなかった」と説明していたことも、分かった。後援会代表の公設第1秘書は近く略式起訴される見通し。特捜部は安倍氏を不起訴処分にする方向で上級庁と調整に入った。不起訴でも、安倍氏の政治責任は避けられない。

   ◇   ◇   ◇

<若狭勝弁護士の目>

秘書の供述によって代議士に嫌疑がかぶらないようにする、「秘書の壁」そのものだったと思います。政治家の事件は、だいたいそう。代議士と秘書の仲が悪くなれば別だが、今回は盤石。口裏を合わせて秘書が完全にかばう形になっていると推測出来ます。

実態として、安倍さんが知らないということはないと思う。長い間、話題にならないことがおかしかったし、もし費用補填(ほてん)はないと報告を受けていたのであれば、秘書をクビにしないといけないくらいの事例。国会でウソの答弁をせざるを得ないような状況になってしまったことも責任が問われる。ただそれが「秘書の壁」なのです。

安倍さんが嫌疑不十分で不起訴となることは予想通り。検察側を評価できることは、秘書だけでも略式起訴できたこと。おそらく3000万~4000万円くらいの罰金になるのではないか。安倍さん本人にも事情聴取したのは、関与を認めさせようということではなく、むしろ検察審査会への申し立てに備えてのものだったと思われます。(元東京地検特捜部副部長)