トランプ前米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が銃を並べて飾っている壁の前で、学校再開に難色を示す教員組合を非難する動画をツイッターに投稿して物議を醸している。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて多くの学校で依然としてオンラインでの授業が続いていることに対し、教師たちがワクチン接種を終えるか感染予防のための安全なプロトコールが整わない限り対面授業を行いたくないと主張して学校再開を妨害していると主張。「教員組合は制御不能で、子供たちの未来を破壊している」と訴えている。

父親に負けず劣らずの過激な保守的発言で知られ、銃所持を支持し、銃規制に反対の立場で知られるトランプ・ジュニア氏に対し、SNSでは「まるでどこか秘密の隠れ家から投稿している過激派のビデオのようだ」「銃が並ぶ壁の前で教員組合を攻撃なんて、嘆かわしい」と批判の声が相次ぎ、同氏の投稿をテロリストの写真と並べて暗にテロリストのようだと批判する人も。さらに、学校での銃乱射事件が社会問題になっている中で、銃が並ぶ前であえて教師を糾弾することは悪影響で、脅威だと懸念の声も上がっている。

一方、同氏は動画の冒頭で「科学的根拠に基づくべき」と語りながら、バイデン政権は都合の良い時だけ科学的根拠を持ち出すと非難し、教員へのワクチン接種が終わっていない段階で学校再開を主張する矛盾を指摘する声もある。「あなたの父親が何もしてくれなかったからこうなった。私たちは昨年の4月から学校を再開させたいと思ってきた」とトランプ前大統領のコロナ対策を批判する教師もいる。

米疾病対策センター(CDC)は先日、学校での対面授業を再開させるための新たなガイドラインを発表したものの、現時点で多くの州や地域で教員はワクチンの優先接種対象になっておらず、対面授業再開を巡る混乱が続いている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)