新型コロナウイルス感染症の高齢者向けワクチン接種が10日、全国的に本格化した。

菅義偉首相は参院予算委員会集中審議で「接種を加速させ、国民の命と暮らしを守っていきたい」。

先月12日から地域限定で開始した65歳以上の高齢者接種だが、この日は神戸市や神奈川県葉山町などで約120自治体でスタートし、供給量を大幅に増やした今週は約390自治体で始まる予定。同首相は1日100万回実施し、7月末までに希望者全員の接種を完了する方針を表明している。一方、厚生労働省によると1回目の接種を終えたのは9日現在で約34万人にとどまっており、医療従事者の確保や予約システムの不具合など課題も多い現状だ。

河野太郎行政改革担当相も「今後とも自治体の要望を聞きながら的確に支援していきたい」。10日から2週間で、約3600万人となる全高齢者の4分の1に当たる約900万回分が出荷される見込みだ。

変異株が拡大し、全国的にも「第4波」が広がっている。東京、大阪、兵庫、京都では12日以降も緊急事態宣言の延長が決定。さらに愛知、福岡も追加される。東京都では、立ち上げている「ワクチンチーム」の総会を都庁で開き、小池百合子知事や東京都医師会の尾崎治夫会長らが参加し、今後の議論も行った。小池氏も「現場の負担や混乱を出来るだけ抑えていけるように、国や自治体とも連携していきたい」。円滑かつ迅速な体制づくりに尽力していくつもりだ。

都では約311万人の高齢者接種を7月末までに終えるために、大規模会場での集団接種だけでなく、かかりつけ医などでの個別接種体制の拡充を重要視した。対応可能な医療機関を増加させるための促進策も早期検討する意向だ。【鎌田直秀】