立憲民主党など4野党は14日、菅内閣に対する内閣不信任決議案を、きょう15日午前に共同提出する。14日の4党首による会談後に立民の枝野幸男代表が明らかにした。15日午後の衆院本会議で採決される見込みだが、自民、公明の与党に日本維新の会の反対多数で否決される、とみられているが、16日の国会会期末の前日から政局へ、一気に動きだす可能性も出てきた。

立民など4野党は、コロナ対策を最優先するなどのため国会会期の3カ月延長を与党に要求していた。だが14日、自民党の森山裕国対委員長は、立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談し、国会会期の延長について拒否する意向を示した。安住氏は、与党が拒否した場合について「不信任案提出で対応したい」と言明しており、与党が切ったカードに事態は大きく動いた。

G7から帰国したばかりの菅義偉首相は、自民党の二階俊博幹事長と官邸で会談した。二階氏は内閣不信任決議案が提出された場合は「菅首相に衆院解散を進言する」と、これまで通りに解散総選挙に踏み切ることを強く断言した。最終的な判断を下すのは菅首相だが不信任決議が否決された場合でも、昨年9月の総裁選で菅首相をいち早く擁立したキングメーカーの二階氏は「伝家の宝刀」を菅首相に振り下ろさせるのか。

コロナ対策や、東京五輪・パラリンピックの開催可否をめぐって政権は国民世論の逆風を浴びる。その最中の衆院総選挙突入は大きな賭けだ。9月に自民党総裁選を迎え、10月の任期満了の前が有力とみられていた衆院総選挙が、前倒しされるのか。約7年8カ月におよぶ安倍晋三前首相の長期政権を支えた二階氏の老練で鋭い嗅覚は、どんな答えをはじき出すのか。国会閉会を目前に、永田町は急転政局もありえる「緊急事態宣言」下となった。【大上悟】