任期満了に伴う東京都議選(7月4日投開票)が25日告示され、9日間の首都決戦がスタートした。

次期衆院選の前哨戦で、各政党は初日から総動員態勢で臨んだ。前回2017年に歴史的惨敗を喫した自民党は菅義偉首相、安倍晋三前首相ら大物がリベンジを期した。劣勢とされる都民ファーストの会は荒木千陽代表が、特別顧問の小池百合子都知事に代表就任要請するなど背水の陣の様相だ。

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4年前のリベンジにかける自民党が首都決戦に総力を挙げる。25日午前9時20分、閣議を終えた菅首相は党本部に直行し、自民党総裁として出陣式に臨み、熱弁をふるった。「4年前の雪辱を期すために戦う人がたくさんいる。歯を食いしばりながら戦ってきた」と、23議席の過去最低に終わった前回の歴史的惨敗をふまえ、激励した。党幹部が列席する中で、丸川珠代五輪担当相が必勝コールの音頭を取って気勢を上げた。

大物、現役閣僚による総動員態勢だった。安倍前首相、麻生太郎財務相、河野太郎行革相、西村康稔経済再生相、丸川五輪担当相に石破茂元幹事長も各選挙区に飛んだ。しかし、菅首相に対しては歓迎ムード一色ではない。新型コロナ感染対策の遅れなど、都民からはコロナ失政を追及する声もあがる。ある自民党陣営では菅首相の応援を「できれば遠慮したい」ともらす。初日の党本部が、首相の「マイク納め」となる可能性もある。

一方で、前回55議席を得た都民ファは苦戦必至だ。相次ぐ離党でかつての勢いはない。前回、共闘した公明党は自民との連携復活で対抗勢力となった。当落予測では10議席を割るものある。中野区から再選を目指す都民ファの荒木千陽代表は、この日の会見で特別顧問の小池百合子都知事に代表就任を要請したことを明かし、小池氏は「検討する」と伝えたという。都議選中の就任に荒木氏は「可能性もある」とした。

小池氏は現在、体調不良のため静養中である。荒木氏は「都知事は過労で倒れてしまわれたが我々は倒れる訳にはいかない。(立候補した)42人全員当選を目指す」と意気込むが、最も期待する小池出陣は厳しくなった。「小池新体制」を議席死守の旗頭としたいが、小池氏はコロナ対策などで自民党の二階俊博幹事長と蜜月関係にある。都議選中の代表就任は自民党を刺激しかねない。小池氏にとっては都議選後の議会運営で自公の協力は不可欠だ。

自民党出陣式であいさつした下村博文政調会長は「小池知事も頑張っておられます」と静養中の小池氏をねぎらった。前回は下村氏の地盤である板橋区で自民は2議席を失い、今回は下村氏の秘書を務めた2人の元議員が立候補した。かつて敵対した小池氏へ向けた下村氏の言葉を読み解けば、動くに動けない小池氏の立ち位置が鮮明になる。水面下での動きが加速する中で、首都決戦が幕を開けた。【大上悟】