28日は、全国の新型コロナウイルスの新規感染確認数が9583人となり、過去最多を更新した。

首都圏1都3県もいずれも過去最多で、厚労省に助言する専門家組織アドバイザリーボードは「これまでに経験したことのない感染拡大」と指摘。感染の急激な加速が鮮明になった。

東京都は3177人と発表。1日当たりで3000人を超えるのは初めて。前日27日の2848人を大幅に上回り、2日連続で過去最多を更新した。死者は6人。直近7日間を平均した1日当たりの感染確認数も1954・7人となり、過去最多だった1月11日時点の1861・1人を上回った。前週比は153%。専門家は21日の都のモニタリング会議で、このまま推移した場合、五輪期間中の8月3日時点の7日間平均が2598人になるとの試算を示していた。

4回目の緊急事態宣言下で東京五輪が開催される中、感染力の強いデルタ株が急拡大し、増加ペースが加速している。

首都圏では、埼玉県でも870人が確認され、27日の593人を大きく上回り、2日連続の過去最多。神奈川県は1051人と、初めて1000人を超えて過去最多に。千葉県も577人で、最多だった26日の509人を超えた。政府は首都圏3県に緊急事態宣言を発令する検討を始めた。

全国でも急激に再拡大している。国内のこの日の9583人は、第3波だった1月の7958人を大幅に上回った。茨城県、石川県、京都府でも過去最多を更新した。

厚労省の専門家組織はこの日、全国の状況について「これまでに経験したことのない感染拡大」「今後さらに上積みされる可能性もある」などと指摘した。東京の状況については「本来なら入院すべきなのに自宅待機になっている人、入院調整中などが増加を続けている」と報告した。

さらに「かなり危機的な状況を伝える必要がある」とし、「東京では既に一般医療への影響が生じている。熱中症などで救急搬送が増加し、一般医療への負荷も増加する中、こうした状況が続けば、通常なら助かる命も助けられない状況になることが強く懸念される」と強調。首都圏3県を含むほかの感染拡大地域についても「今後、同様の状況が生じることが強く懸念される」とした。

その上で「コロナの医療が増えるだけでなく、一般の医療への制限が既に始まっている。そういう危機的状況が、行政と市民で共有されていないことが問題。市民に協力をしていただけるような状況をつくっていく、メッセージをしっかり発信していくことが重要」などと説明していた。

各地で医療提供体制ひっ迫への危機感が一段と高まる中、五輪やパラリンピックへの影響も懸念される。