東京都は29日、新型コロナウイルスのモニタリング会議を開き、現在の増加ペースが継続すれば、東京五輪終了後の8月11日時点で、直近7日間を平均した1日当たりの新規感染確認数が約4532人になるとの試算が示された。専門家たちは「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている。現在の新規の増加が継続することは早急に回避しなければならない」「医療提供体制のひっ迫が始まっている」などと強い危機感を繰り返した。

会議は、29日の新規感染確認数などが発表される前に開催。その時点で報告された新規感染者の直近の7日間平均は約1936人で、6月30日時点の約503人から約4週間で約4倍になっている。前週からの増加比は153%。専門家はこのまま継続すると、8月4日時点では約2962人になり、8月11日時点では約4532人になると試算。「医療提供体制が危機になる」とした。感染力の強いデルタ株への置き換わりが急速に進んでおり「爆発的な感染状況になる」と警鐘を鳴らした。

新規感染者は、50代以下の割合が90%以上だが、65歳以上も増加。感染経路では、同居する人からが55・8%と最も多く、次いで職場の15・4%、会食による感染も増加している。新規感染者のうち、無症状は12・2%。都の発熱相談センターの連休中の相談件数は1日当たり3000件を超え、6月の平均の3倍だった。

入院患者数は1カ月で倍増しており「体制のひっ迫が始まっている」と指摘した。全療養者に占める入院患者は18%、宿泊療養は11%で割合が低下する一方、自宅療養者と入院療養調整中が大きく増加し、今後、急激な増加が危惧されるという。専門家は「自宅療養における危機管理体制の構築が急務」などと訴えた。

小池百合子都知事は、都民に対し、あらためて人流の抑制などへの協力を求めながら「コロナは人ごとではない。大切な人を守るため、危機感を共有したい。デルタ株は手強い。ワクチンが広く行き渡るまでが勝負なんです。この夏を最後のステイホームにしてまいりましょう」などと呼び掛けていた。

会議後に取材に応じた際には、人流が前回の緊急事態宣言時ほど下がっていないことに関連し、五輪が人流抑制の理解の妨げになっている可能性はないかと問われた。小池氏は「五輪は逆だと思う」とし、「とてもステイホーム率を上げてくれています。テレビの視聴率が如実に示している」と否定した。