日本将棋連盟は23日、「創立100周年記念事業・東西将棋会館建設委員会」発足式と、「東京・将棋会館の移転に係る基本協定締結」を都内で行った。同連盟は2024年9月8日に創立100周年を迎えるにあたり、老朽化して手狭にもなっていた東京・千駄ケ谷「将棋会館」の移転を決定している。

移転先はJR千駄ケ谷駅から徒歩2分、通りを隔てて反対側には東京体育館があるヒューリックの千駄ケ谷センタービル。建て替え計画1階部分の約622坪(約2053平方メートル)に対局場、事務所、ファンが楽しめる道場や販売ブースなどが設けられる。1日あたりの対局数は現行より少し増やせそう。面積も少し広くなる。現在は地下1階、地上5階と縦長のスペースをまかなっているが、すべてを1つのフロアに集約できるのが特徴だ。

建設委員長には羽生善治九段(50)が就任。委員として佐藤康光会長(九段=51)、渡辺明名人(棋王・王将=37)をはじめ、藤井聡太王位(棋聖=19)ら永世称号保持者や現役タイトル保持者が名を連ねる。「関西は2023年をメドに大阪府高槻市に移転しますし、こちらは千駄ケ谷駅前に移転する。小学校2年生で将棋を始めてから40数年間、千駄ケ谷に通い続けたのも大きなご縁ですし、100年という節目に大きな事業を通じて、還元できるように尽力していきたい」と、羽生委員長は会見の席上で話した。

建設資金は、5億円を目標にクラウドファンディングで募る。関西の将棋会館も同額という。「次なる100年のために一丸となって向かっていきたい」(佐藤会長)。

千駄ケ谷のある渋谷区では、竜王戦7番勝負の第1局を今年も10月に「セルリアンタワー能楽堂」で予定している。長谷部健区長は、「渋谷区は新たな文化の創造とともに、伝統文化の継承もしていきたい」と言う。将棋の果たす役割は大きい。新たな総本山は、将棋の普及や地域の振興に貢献する。