菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選(29日投開票)へ向け、河野太郎行革相ら4候補は21日、若手・中堅議員による派閥横断グループ「党風一新の会」主催の意見交換会に臨んだ。

河野氏は党批判や政策立案などに鋭く突っ込む一方で、かねて指摘されていた過激さや独善的な物言いに危うさを漂わせ、ライブ中継を見る視聴者の評価も割れた。現実的かつ具体的な党改革を訴えた3候補者とは好対照に映った。

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総理総裁候補の同僚議員に対し、同僚議員が本音を交え党改革を問う。その模様をライブ動画サービスで配信するという初の試みは、候補者の人物像や「素」に迫る面白さがあった。編集やカットが利かない一発勝負の生配信で、視聴者の生の声も表示され、国民目線のリアル総裁選を映し出した。

主催した「党風一新の会」は、当選3回までが大半の若手・中堅議員約90人が参加する派閥を横断したグループで、河野氏を支持する議員層も重なって、河野氏が持ち味を発揮した。

冒頭から太郎節全開。「私の自慢の1つは自民党所属の国会議員の中で、本会議(での)造反の数が圧倒的に多いのは俺だろう」と笑い飛ばした。さらに「別に与党だから全部、賛成しろという必要性は本来ないはず。与党の一員として俺は好き勝手言うぜ」と突っ走った。政府のコロナ対策も「科学的なデータを示し、説明が不十分だった。身内に甘い。傷をなめあうのは良くない」と、痛烈に批判した。

また若手議員から官邸主導で「政高党低」と言われる現状についても「政高党低じゃなきゃ困る」と全否定し、「(各)部会で、ぎゃーぎゃーやってるよりも…、ちょっと、アブねぇーな、これ」と自らブレーキをかけるほどヒートアップした。

圧倒的な熱量を示す一方で、危うさも漂わせた。根回しなしの唐突発言や行動などから所属する麻生派(53人)の重鎮議員が、岸田文雄前政調会長の支持に回るなど、派を二分するほど根深い、反河野の構図が露見。一般視聴者のコメントも賛否が割れた。

他の3候補は党改革の具体策に踏み込んだ。高市早苗前総務相は「政治とカネの問題」に言及。「広島県で起きた事件(19年・参院選での買収)は悔しくて悔しく悔しくてたまらなかった。公認会計士も入れて、しっかりと監査をして結果を幅広くみなさまにお伝えして、おわびをする」とした。視聴者からは「党員になって支持する」「勝ったら入党する」などの生コメントが躍った。

岸田文雄前政調会長は党役員の任期制限について「1ミリたりとも変わっていない」と一貫して主張し、野田聖子幹事長代行は「久しぶりのフルスペックの総裁選だが、常に党員の声を反映させる」とフルスペック固定を訴えるなど、現実的な党改革を打ち出して「河野劇場」と一線を画した。【大上悟】