河野太郎行革相(58)の敗戦の弁は「力不足」の一点張りだった。支援を受けた議員らへの報告会後、「私の力不足でありまして、非力な候補者を支えてくれた多くの仲間、党員、議員の皆様、国民の皆様に私の力不足をおわびしたい」。約8分間の取材中、6度も「力不足」を繰り返した。

今選挙勝利のもくろみは、党員・党友票を多く集めて、1回目の投票で過半数を獲得することだった。全国的に人気の高い小泉進次郎環境相と石破茂元幹事長との“小石河連合”を結成し、オンラインなどで発信を続けたが、党員票は全体の44・2%となる169票と伸び悩み。議員票は岸田氏の146票に大きく離されただけでなく、高市氏の111票も下回る86票で、まさかの3番手だった。

決選投票でも党員票は39対8と圧倒したが、議員票はダブルスコア近い大差。推薦人20人も、6つの派閥から少人数ずつの構成で、各派閥ごとの絶対的な支持は受けられていなかったことが、当日の票に反映された。議員票、地方票、戦略など報道陣からの数々の質問にも、選挙の中身に関する具体的な負の部分には「もう総裁選が終わりましたから、前を向いてしっかり歩いていきたい」と、同じ答えを4度も繰り返して濁した。菅義偉首相の国民への説明不足を反省点に挙げてきた河野氏も、同様な印象は否めなかった。

現在はコロナのワクチン担当も務めるが「岸田新総裁は日本のかじ取りをしっかりやっていただける方。全力で支えたい」。次の総裁選にも「またチャンスがあればしっかり取り組みたい」と意欲を示したが、永田町での支持率の低さを露呈した結果となった。【鎌田直秀】