文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)が、19年の映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)出演者のピエール瀧(54)が麻薬取締法違反容疑で有罪判決を受けたことで内定後の助成金不交付決定をしたことに対し、製作会社スターサンズが処分の取り消しを求めた裁判で、行政処分の取り消しを命じた6月の東京地裁判決を不服とした控訴審が26日、東京高裁で開かれた。

スターサンズ側は、芸文振が19年7月に「公益性の観点から適当ではない」との理由で不交付決定後、同9月に公益性の観点から内定の取り消しが出来ると助成金の交付要項を改訂し、募集案内にも製作陣、俳優が重大な刑事処分を受けた場合は不交付の可能性があると記載したことの問題点を指摘し続けてきた。弁護団の四宮隆史弁護士は控訴審後の会見で「後出しじゃんけんのようなもの」と改めて批判した上で芸文振側が「交付内定は内部的な手続きに過ぎない」と主張していると説明。「交付要項に基づく内定は無視して良く、最終的に理事長判断で決めるというもの。自己否定に当たるのではないか。驚いた」と首を傾げた。

また平裕介弁護士は、専門の行政法の観点から「補助金適正化法には麻薬など一切、書いていない。(同法を)大きく逸脱して麻薬取締法を管轄、重視するかのような判断は大きな問題」と批判。その上で、この日、小室圭さん(30)と結婚した秋篠宮家の長女・小室眞子さん(30)が皇室経済法6条に規定された国からの一時金を辞退した件を例に「お相手の髪形が長髪とか全く法律と関係ないところで、行政法を無視した反論の声があった。(辞退に至る流れは)近代国家の大原則を無視している。今回の裁判で芸文振が勝ったら、それが認められることであり非常に危険。絶対に負けられない」と訴えた。【村上幸将】