将棋日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)の準決勝、藤井聡太3冠(王位・叡王・棋聖=19)対永瀬拓矢王座(29)戦が3日、名古屋市内で始まった。

持ち時間が各10分の超早指し棋戦。振り駒の結果、歩が4枚出て藤井が先手。いつものようにお茶を口に含んで先手2六歩、永瀬は8四歩とお互いに飛車先の歩を突いてスタートした。 地元・名古屋での公開対局前にトークショーに出演した藤井は「最後まで楽しんでいただける熱戦にしたい」と意気込んだ。ファンへのプレゼント用の色紙には「初心」と揮毫(きごう)した。「将棋を始めたころの新鮮な気持ち、ワクワクした気持ちを大切にしていきたいという思いで書きました。きょうの対局もそういう気持ちで臨みたい」と話した。

将棋に対するストイックな姿勢から「鬼軍曹」と呼ばれる永瀬は「藤井3冠のホームなので、アウェー感を感じていますが、跳ね返したい」と気合を入れた。

色紙には「鬼」と揮毫(きごう)した。

「10月31日がハロウィーンだったので、鬼だと思っていた。とくに深い意味はない」

タイトルホルダーの藤井は2回戦から登場し、千田翔太七段(27)を破り、JT杯初の4強入りを果たした。藤井は3年連続3回目の出場となる。

両者の対戦成績は藤井の6勝1敗。両者は練習将棋を指す間柄で、お互いの将棋や性格は熟知している。

JT杯はタイトルホルダーと賞金ランキング上位者の計12人による勝ち抜き戦。優勝賞金500万円、準優勝150万円。

持ち時間は10分、使い切ったら1手30秒未満。ただし、1分単位で合計5回の考慮時間がある早指し戦。 勝者は、前年度のJT杯覇者である豊島将之竜王(31)と21日の決勝で対戦する。