元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(52)が、16日放送のフジテレビ系情報番組「めざまし8」(月~金曜午前8時)にリモート出演。2018年に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(50)が国などを訴えた裁判で、国が突然「認諾」の手続きを取り、賠償責任を認めて裁判を終わらせたことについて「ひどい政府」「国民をバカにしすぎ」などと厳しく批判した。

橋下氏は、「国が真実を隠したいんでしょう。本当、日本政府ね、こんなにひどい政府なのかと嫌気がさしますよ」と強い口調で糾弾。「普段、お金で早く解決して欲しいという人には国は徹底的に争って、時間を引き延ばして…そんな裁判いくらでもあるんですよ。赤木さんの件は、ただちにお金をくれ、という話ではなくて真実を明らかにしてほしいという話。これね、本当に日本政府ね、誠意を見せるんだったら、赤木さんの言っている事実について『これは違う』『これは認める』ということをやらないと」と指摘し、「国民をバカにしすぎ。本当に腹立たしいです」と国への怒りをあらわにした。

橋下氏はさらに、佐川宣寿元国税庁長官を被告とした裁判は継続することを指摘しながら「公務員個人は責任負わないんですよ、基本的には。国家賠償といって国が責任を負うことで、佐川さんの裁判ではおそらく真実は明らかになりません。となると、赤木さん、経緯を全て明らかにする手だて、持てなくなる。なくなってしまいますよね」と意見。「『岸田政権は謝るところは謝り、誠意をみせる』というのであれば、今回の裁判は時間をかけてでも、しっかり事実をについてひとつひとつ、赤木さんに対して答えるべき。国民に対して誠意を示してもらいたい」と訴えた。

番組に出演した古市憲寿氏も「(雅子さんは)お金じゃなくて、真相解明をたぶんして欲しかったんじゃないですか。納得いかないのは当然」とし、「裁判以外にも真相解明の方法がある」との見方を示した。

作家の平野啓一郎氏はツイッターで、「不誠実極まりない。人一人が亡くなって、遺族が真相解明を求めているというのに」とコメントするなど、国の対応を疑問視する声が相次いでいる。

裁判では、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した赤木さんをめぐり、雅子さんは真相解明を求めていたが、15日に大阪地裁で行われた進行協議(非公開)で、国が約1億円の賠償請求を受け入れる書面を提出。国が訴訟を終結し、幕引きを図った形となった。真相解明の大きな機会を失う形となった雅子さんは会見で「ふざけんな」などと強い口調で、国への怒りと失望の声をあげていた。