囲碁界の「華麗なる一族」から、現役最年少棋士が誕生した。張心治(ちょう・こはる)さんだ。29日に終了した日本棋院「令和4年度女流特別採用棋士採用試験」で合格した。8人総当たりのリーグ戦を6勝1敗で制し、4月1日付での初段(プロ)デビューを決めた。12歳4カ月でのデビューは、現在12歳10カ月の仲邑菫二段より若く、現役最年少。採用試験史上3位(1位は藤沢里菜女流本因坊の11歳6カ月、2位趙治勲名誉名人の11歳9カ月)となる。

この日の最終戦は同じ5勝1敗で、11歳3カ月と史上最年少での採用試験合格(3年前に10歳0カ月でプロになった仲邑は、英才特別採用推薦)を目指す柳原咲輝さんとの直接対決。黒番6目半勝ちした。「うれしいです。目標は父です。実力不足なので、もっと強くなりたいです」と抱負を語った。

張さんは、棋聖・名人などタイトル41期獲得の張栩(ちょう・う)九段(42)が父で師匠、母は同10期の小林泉美七段(44)、祖父が小林光一名誉棋聖(69、同60期)、祖母は故小林禮子七段(同10期)、曽祖父が故木谷実九段(同4期)、姉は一昨年4月にデビューした張心澄(こすみ)初段(15)と、囲碁界で唯一4世代続く棋士一族。また、現役4組目の姉妹棋士でもある。

会見には両親も同席。父は、「プロになれたのは奇跡。厳しい言葉をかけても泣いてしまう姉と違い、にらみ返す。平常心で居られるのは強み。年齢と棋力のバランスを考えれば有望で、より厳しく鍛えていこうと思います」と、弟子の愛娘を見つめた。自宅に仲邑二段を招いて対局したことも明らかにし、「年齢は近いが、まだまだ実力の差は大きい」と分析する。

祖父に早速、報告したという母は、「ひいおじいちゃんからの流れで4代目となりますし、ファンに愛される棋士になってもらいたい」と、期待していた。【赤塚辰浩】

▽仲邑菫二段 入段おめでとうございます。心治ちゃんとは昨年何度か一緒に勉強させてもらいました。これからもお互い強くなれるように頑張っていければと思います。

▽藤沢里菜女流本因坊 一家全員プロになるなんて本当にすごいですね。お姉さんの心澄さん(初段)、心治さんどちらとも打ったことがなく、将来公式戦で打てるのを楽しみにしています。