岸田文雄首相は28日の参院決算委員会で、民法改正によって4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、親の同意なしに18歳からさまざまな契約が可能となり、アダルトビデオ(AV)の出演を強要されるケースの増加が懸念される問題について「教育、啓発の強化にしっかり取り組んでいく。従来の法律の適用をしっかり行っていく」などとするに留めた。

これまでは18歳、19歳の未成年者が親の同意を得ずに契約した場合は、原則として「未成年者取り消し権」を行使して契約を無効とすることが可能だったが、今回の民法改正によって、その対象から除外される。AVについては20歳以上でも契約を盾に出演を強要される事案が多発して社会問題となっており、成年年齢の引き下げで10代にも被害が拡大することが懸念されている。

立憲民主党の塩村文夏氏から「現実問題として18歳現役高校生のAVが実質的に解禁となってしまう。現役高校生の未成年者取り消し権と同等の効果のある政策を4月1日以降も存続すべき」と強く求められた。これに対して岸田首相は「民法の脅迫、詐欺に該当し、取り消すことができないか。消費者契約法や刑法はじめ、さまざまな法律をしかり適用することによって不都合を生じさせないようにする」などと、現行法で対応可能との認識を重ねて示した。