米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」のロケ地となった国内各地では28日、地元関係者らから喜びと観光客の「聖地巡礼」を期待する声が上がった。

撮影に協力した広島フィルム・コミッションの西崎智子さんは、ロケ地のグランドプリンスホテル広島(広島市南区)で受賞を見届け、祝福した。作品が公開された21年8月よりも前から、ホームページ上で聖地をたどれる地図を公開。作中に登場するごみ処理施設「広島市環境局中工場」では、敷地内をスマホで撮影するファンが増えたという。呉市御手洗地区には主演の西島秀俊が作中で宿泊した建物も。地元の豊町観光協会の石田雅恵さんは「海外の人にも来ていただきたい」と期待を込めた。

クライマックスの雪景色の舞台、北海道赤平(あかびら)市では、市民ら約10人が飲食店「珍来」で授賞式を見守った。赤平市は旭川市のやや南西に位置。厳しい寒さの中で撮影が行われた20年12月、西島ら関係者約40人に「トンカツラーメン」を提供した店主の佐々木康宏さん(62)は「少しでも作品に関われたことがうれしい。多くの方に赤平に足を延ばしてもらいたい」。コロナ禍で売り上げは3割近く減っているが、作品のファンが既に数十人も訪れているという。【沢田直人】