千葉県木更津市で行方不明になっていたドーベルマン2匹の盗難容疑で逮捕されたのは、約1カ月前に逃げ出した際に発見、確保したボランティア女性だった。

木更津署は19日、木更津市内の無職男性(79)が飼っている大型犬ドーベルマン2匹を盗んだとして、窃盗と住居侵入の疑いで、同県松戸市の自称無職の岡島愛容疑者(29)、埼玉県草加市の自称自営業の高橋里衣容疑者(29)、同越谷市の自称自営業の佐藤徳寿容疑者(51)を逮捕した。逮捕容疑は8日午後1時半ごろから同2時半ごろまでの間に男性宅の敷地内に侵入し、2匹と首輪2つを盗んだ疑い。防犯カメラの映像や周辺の聞き込みなどで特定した。署は3人の認否は明らかにしていない。他に共犯者がいる可能性もあるとみて、全容解明に向けて捜査を継続する。

2匹とみられる犬は、この日午前に、母犬が越谷市、子犬が草加市で確保されており、ケガなどもなく元気な様子だという。飼い主の男性が「8日から2匹がいなくなった」と11日に警察に届け出ており、13日には「盗まれたんだと思う」と盗難の可能性を訴えていた。

日本警察犬協会会員でもある岡島容疑者は先月22日、同飼い主宅から今回の母子2匹を含む計4匹が逃走した際に、ボランティアとして捜索に参加していた。動物保護団体に相談し「年の近いおとなしい犬がいれば『一緒に遊びたい』と思って出てくるかも」との助言を受け、愛犬の雌のドーベルマン「うり」を連れ、夫と友人と一緒に車2台に分かれて周囲を捜索。路上を歩いていた4匹を発見して声をかけると母犬がおとなしく近づいてきたため、確保した。確保時は「1匹でも見つかればいいと思っていたから感動した。車にひかれることなく見つかってよかった。ドーベルマンが好きなので『怖い犬が逃げた』というイメージを持ってほしくなかった」と安堵(あんど)の表情を見せ、疲れていた子犬が抱きかかえる腕の中で眠りに就いたことも明かしていた。また、飼い主に対しても「信じられないような飼育環境だった。柱も削れていたし、『どうにかしないとダメですよ』と注意しました。私の(所属している)保護団体に動いてもらわないといけない。飼い主は自覚が必要。謝罪もなかった」と戒めていた。

13日にはツイッターで「やっと飼い主の変人具合が公になって助かります。私疑われてて笑っちゃった」など、飼い主男性を批判するようなコメントも投稿していた。自身の犯行も否定しているかのようだった。

岡島容疑者はドーベルマン3匹を飼っており、ブリーダーを目指していた。高橋容疑者は先月に逃げ出したドーベルマン4匹のうち、子犬1匹をすでに引き取っていた。