茨城県水戸市や千葉県松戸市など全国の複数自治体に、小学生下校時の誘拐や殺害を予告するメールが届いたため、警察や自治体、保護者らが警戒を強めた。

水戸市では5月31日、警察や市職員、防犯協会やボランティアらが協力して通学路などの見回りを実施した。市教育委員会は前日30日に、各小中学校を通じて、小学校では保護者引き渡し下校を徹底する文書を各家庭に通達。中学校は部活動を禁止し、複数生徒での下校を求めた。

保護者が車で迎えに来て外部との接触を絶つ「ドライブスルー形式」を採用した小学校もあった。各学年で時間を分散させ、車が昇降口前に着いた時点で名前をアナウンスして待機する児童が乗車。学校周辺には車の長い列が出来たが、安全な引き渡しを完了した。

児童の母は「登校も含めて犯人が捕まるまでは送迎も必要。騒ぎになることを喜ぶ愉快犯かもしれないが、もしものことを思うと怖い」と不安の表情。一部保護者からはオンライン授業を希望する声も上がった。市教委担当者は「保護者の方たちの中には急な対応が難しい方もいる。コロナの時もそうでしたが、送り迎えにご協力いただいてありがたいです」と感謝した。

29日午後7時半ごろに「いばらき電子申請・届け出サービス」を通して「5月31日に水戸市内の下校中の女子小学生を自宅に誘拐し、殺害等を行う」と書き込まれた。同署では威力業務妨害容疑を視野に捜査し、パトロールや私服警官による不審者への職務質問などの対応にもあたった。同市では昨年5月に水戸駅での無差別通り魔予告があり犯人逮捕。同時期には茨城大爆破予告も。今月24日には女子児童が通学路で石のようなもので殴られ右腕負傷の事件も起きている。

山梨県北杜市では市の問い合わせフォームに「下校中の生徒を誘拐する」。松戸市、埼玉県川口市、静岡県掛川市、鳥取県倉吉市、長崎県大村市などでも同様な内容の犯行予告文が届いている。ほとんどが29日夜に「下校中の女子小学生」「小学生に対して危害」などと送信されており、同一犯とみられる可能性もある。水戸市では6月3日まで防犯対策強化を決定。団体での登下校継続を徹底する。【鎌田直秀】