パチンコ、パチスロが2022年度から「スマートパチンコ」「スマートパチスロ」へと新たにカジを切る。19日には、都内のホテルで業界関係者などを対象にした「スマート遊技機フォーラム」が行われた。

2018年(平30)に開発が可能になって4年、「スマートパチスロ(スマスロ)」は今年秋、「スマートパチンコ(スマパチ)」は来年春から導入予定。現在あるスロット140万台、パチンコ240万台のうち、徐々に移行される。従来のメダル、パチンコ玉に直接触れることなく遊技できるようになる。遊技者にとっても、ホール側にとっても感染防止になる。

出玉情報はデジタル化され「遊技機情報センター」で一元管理される。売り上げやプリペイドカード使用のデータも、各店舗で一括管理される。業界として、電子マネーに対する運用も現在研究、開発中という。

フォーラムで、日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)理事で、スマスロ普及推進プロジェクトリーダーを務めた「セガサミーホールディングス」の里見治紀社長(43)は、「スマート遊技機による遊技産業の未来」について説明。「業界全体のデジタル化によるキャッシュレスを含めた利便性」「メダルを投入する手間が省けることによる遊技性の向上」「不正防止」「省エネ」「コスト削減」「騒音がなくなる」などメリットを説明した。

パチンコ業界は射幸心をあおるとか、ギャンブル依存症問題などの対策こそ講じているが、逆風にさらされている。追い打ちとなったコロナ禍で20年前に約3000万人と言われていた遊技者は900万人、店舗数もピーク時の約1万7000件から約8000件まで減った。売り上げも減少が続く。 新規出店という点でも広い面積の敷地を確保し、600~700台もの機種を入れ、20億円から30億円といった大規模投資が必要とされる。玉やメダル、これを含めたインフラ整備がないスマート遊技機は、初期投資が少ない。コンビニエンスストアほどの敷地面積や、商業施設の一角などで100~150台の機種を入れ、1億円程度の出資で済むという。スマート遊技機は、これに変化をもたらす切り札でもある。

業界ではスマパチ、スマスロの体験会などを随時行うという。イメージの向上、新たなファンの開拓、パチンコ・パチスロから離れてしまった人の取り込みなど、参加人口の増加につなげていく。

パチンコ機種メーカー「京楽」社長でもある、日本遊技機工業組合(日工組)の榎本善紀社長(53)は、「時代に合わせた、進化の伴うシステムをつくって、業界を活性化させていきたい」と話していた。