ロシアのプーチン大統領が容姿の変化を理由に「複数の影武者」を使用している可能性があることを、ロシアの侵攻を受けるウクライナの情報機関のトップ、キリロ・ブダノフ少将が指摘した。

英サン紙によると、2日に自国のニュース番組に出演した同少将は、「公の場に姿を見せた際のプーチン大統領の画像を見ると、例えば耳の形が違う。耳の形は指紋のようなもので、形は人それぞれ違う。同じ形のものはない」とコメント。外見は非常に似ているが、習慣や癖、歩き方も違うと述べ、「良くみると身長さえも異なることが分かる」と語っている。プーチン大統領の耳の形の変化を巡っては2018年にも英メディアが3枚の異なるプーチン大統領の写真を検証した結果、全て異なる人物の耳である可能性を指摘している。

ブダノフ少将は、これまでもプーチン大統領が重病で公の場に出られるような状態ではないと主張しており、影武者の使用を巡っては先月イランを訪問した際も歩き方などから別人である可能性を指摘していた。プーチン大統領は血液のがんを患い極秘手術を受けるなど重病である説があるほか、パーキンソン病の疑いも持たれている。

ただロシア政府は重病説を否定しており、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も「むしろ健康すぎる」と語り、健康不安説を裏付ける証拠がないと先月述べている。

一方、元ロシア対外情報庁中尉が運営しているとされるロシアのSNSテレグラム・チャンネルの「General SVR」という軍事関係サイトが、プーチン大統領は先月22日に一晩中ひどい吐き気に苦しみ、深夜に医師が駆け付け治療を施したと伝えていると英デーリー・メール紙は報じており、その後の公の場の登場で影武者を使う決断が下された可能性を指摘している。

また、同紙はロシア軍が激戦地の一つとなっているウクライナ東部ドネツク州でウクライナ軍に押し戻されるなど目立った戦果を挙げられていないことなどから、ロシア政府内で敗北した場合に備えてプーチン大統領と側近の国外逃亡計画が進められていると報じている。大統領はロシア経済崩壊の危機に直面する中、国内ムードの急激な変化が起こる可能性を認識しており、ロシアから最も近い友好国であるシリアに飛行機で逃亡する計画があるという。しかし、シリアに向かうには北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコ上空を飛行する必要があるため、同国のエルドアン大統領がプーチン大統領が搭乗する飛行機の侵入を拒否した場合は計画が台無しになる可能性があると伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)