世界で活躍した日本を代表するファッションデザイナー、森英恵(もり・はなえ)さんが11日、東京都内の自宅で死去した。96歳。森さんの歩みを振り返る。

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森さんは1926年(大15)1月8日、島根県生まれ。東京女子大国文科卒。49年、ドレスメーカー女学院に通い始め、51年に新宿に洋裁店「ひよしや」をオープン。銀座にも「ひよしや」を開き、53年ごろからは多くの日本映画の衣装を担当する。

65年に米ニューヨークに進出し、初の海外コレクションを展開。当時、東洋人初といわれた。ニューヨークにもブティックを開店し、このころから、日本航空の客室乗務員のユニホームも手がけた。

77年から、パリのオートクチュール組合に参加。78年には、東京・表参道に、ブランドを象徴する「ハナエ・モリ」ビルをオープンさせた。80年代後半には、イタリア・ミラノ「スカラ座」でのオペラ「マダム・バタフライ」や、パリ・オペラ座でのバレエ「シンデレラ」の衣装を担当した。

88年、東京ドームでこけら落とし公演として開かれた美空ひばりさんの「不死鳥コンサート」の衣装も手がけた。

平成に入ると、92年、バルセロナ五輪日本代表のユニホームを手掛けた。また、93年6月9日、現天皇、皇后両陛下の皇太子さまと雅子さまのロイヤルウエディングの際、雅子さまのローブデコルテを担当したことでも知られる。

88年に紫綬褒章、96年に文化勲章を受章。服飾デザイナーでは初めてだった。フランス政府からは、レジオン・ドヌール勲章を受けた。

タレントとして活躍する森泉(39)、森星(30)は、森さんの孫。