今年10月2日の選挙で当選に必要な法定得票数に達した候補者がいなかった東京都品川区長選の再選挙が27日、告示され、前回出馬の5人と新たに新人1人の計6人が立候補を届け出た。再選挙につながった前回と同じ候補者の人数で、今回も同様に票が分散すれば、史上初の「再々選挙」にもつれ込む可能性もある。選挙のたびに、約2億円の経費が費やされている。

各候補者はこの日、品川区内で街頭演説し、有権者に支持を訴えた。

今回新たに参戦した石田慎吾氏(43)は、推薦を受ける国民民主党の玉木雄一郎代表と演説し「新しい選挙にするためには、新しい選択肢を示したい」と訴えた。前回も準備したが立候補は断念したという。「(自身の立候補に対し)いろいろなことを言う人もいるが、新しい時代の品川をつくりたい」。区長に当選すれば、副区長は他の5候補から起用するという。

前回最多得票ながら、法定得票数に約590票足りなかった森沢恭子氏(44)は、支援を受けるボランティアの活動に涙で感謝しながら「今度こそ区長に押し上げてください」と呼びかけた。都議5年の経験を生かすとして、子育てや高齢者、障がい者政策など7つの重点政策を公表。前区長浜野健氏の区政の「継承と発展」を訴えた。

前回、森沢氏に次ぐ次点だった石田秀男氏(63)は、前回積極的に打ち出さなかった自民党との連携を、今回は前面に出す。「なんとしても勝ち抜かないといけない。即戦力として活用してほしい」。応援に入った自民党の石原宏高衆院議員は「政権政党とのつながりで、地域の声を国にすぐ伝えられる」と訴えた。

前回3位だった山本康行氏(46)は、「勝手連」で支援する立憲民主党の長妻昭政調会長や、保坂展人世田谷区長らが応援。21年の銀行員生活で培った経験に触れながら「区民の皆さまの声を聞きながら新しい品川をつくりたい。今度こそ絶対に区長になる強い気持ちで挑戦する」と述べた。

村川浩一氏(75)は浜野前区政からの転換や福祉政策の充実、西本貴子氏(62)は区議19年の経験を生かした区政運営への意欲を、それぞれ訴えた。

再選挙は全国の自治体で7例目、区長選では初めて。前回の投票率は35・22%と低調だった。もし、再々選挙に持ち込まれるような結果になれば、まさに異例の事態だ。投開票は12月4日。【中山知子】

<品川区長選再選挙の立候補者(届け出順)>

◆石田 秀男(63)前区議 自民党推薦

◆村川 浩一(75)元大学教授 共産党推薦

◆森沢 恭子(44)前都議 無所属

◆西本 貴子(62)前区議 無所属

◆石田慎吾(43)前区議 国民民主党推薦

◆山本康行(46)元銀行員 無所属