将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局が21、22の両日、大阪府高槻市の温泉旅館「山水館」で行われる。藤井が初防衛をして5冠を堅持するか。羽生が前人未到のタイトル獲得通算100期を達成するか。世代を超えたスターが初めてタイトルを争う歴史的な一戦が始まる。

両者は20日、対局会場での前日検分後、意気込みを語った。第1局を一直線の攻めで先勝した藤井は「あまり予想していない好手も多く指され、改めて羽生九段の強さを感じた」と振り返った。過去の対戦成績は藤井の8勝1敗。大きくリードするが、第2局では「羽生九段は幅広い戦型選択をされるので、さまざまな形に対応できるようにやっていきたい」と連勝を狙う。

第1局では秘策「一手損角換わり」をぶつけて敗れた羽生は「いろいろと調べて、何が悪かったかは分かりました」と敗因の分析を終えたと明かし、先手番となる第2局に「先手番の方が作戦をいろいろ選びやすいが、優位というわけではない。自分の持っているものをやり切るということ。新たな気持ちで迎えたい」と逆襲を誓った。

この日、高槻市内のホテルで開催された前夜祭には応募が殺到。高槻市観光協会によると、定員60人の約25倍となる1496人の申し込みがあった。担当者は「まさにドリームマッチ。反響はありがたい」と喜んだ。

24年秋の完成を目指し、関西将棋会館が大阪市福島区からJR高槻駅そばに移転する予定。藤井は「地元の方にも王将戦を歓迎していただいてうれしく思います」。キリシタン大名・高山右近らが城主だった高槻城跡からは江戸時代の武士たちが遊んだとみられる将棋の駒47枚が出土した。「将棋のまち高槻」で夢の対決が始まる。【松浦隆司】