東京都は30日、小池百合子知事が出席して都庁で子供政策総合推進本部の会議を開き、子供の目線でとらえ直したとする政策を盛り込んだ「こども未来アクション」を策定し、発表した。

小池知事は、2022年度の出生数が80万人を割り込む見通しが示されたことを踏まえ「現在我が国では、少子化という静かな有事が進行している。言うまでもないが、人口は国力の源泉だ。少子化の問題は本来、国策として取り組む課題ではございますが、もはや一刻の猶予も許されない危機的な事態と受け止め、都は、なし得る対策を早急に講じていく」と強調。「異次元の少子化政策」というネーミングだけで具体策の策定をまだ示せていない岸田文雄首相との差を示すように、対策を立てた上でスピード感をもって実行に移していく考えを示した。

都は27日、少子化対策に1・6兆円(前年比2000億円増)を盛り込んだ2023年度一般会計当初予算案を発表している。

小池氏は「今回のとりまとめは、ここからがスタートだ。いかに迅速に都民に質の高いサービスを届けていけるか、それぞれのセクションで知恵を絞ってほしい」「次世代を担う子供たちに、東京に生まれ育ったからこそ自己実現ができたと思ってもらえるような都市を、つくりあげていかない。これまでの延長戦ではなく、新たな取り組みに挑戦していかないといけない」とも話し、出席した担当者にはっぱをかけた。

また「都だけで少子化が克服するなんてことは、できるわけがない。都の取り組みをてこにして、国や自治体、民間などが一体となり、社会全体で少子化に取り組む大きなうねりを起こしていかないといけない」とも述べ、国などに先んじた「先導役」となることへの意欲も示した。【中山知子】