共産党は6日、党員の立場で党首公選制などを求める著書を出版したジャーナリストの松竹伸幸氏を、除名処分にしたと発表した。言動が「党内に派閥・分派はつくらない」などとした党規約に反するとして「重大な規律違反」があったと指摘した。

一方、松竹氏は東京・日本記者クラブで記者会見した。党の地区委員会から、前日5日に除名処分の決定を伝えられていたと明かした。「私はただ本を出版し、党員にも読んで欲しいという思いだった。その行動が分派活動になるなら、憲法の言論表現の自由は、共産党員には保証されていないことになる」と反論。除名は党の5段階の処分の中でで最も重い。過去の処分例に照らしても重い処分だとして「分派活動というのはこじつけに過ぎない」と述べ、今後、処分撤回を訴え、党規約で認められた再審査を求める考えを示した。

「規約55条に定められた再審査を、党中央委員会に求める。来年1月に行われる党大会で、処分は不当だと訴え、代議員に撤回を求めたい。この1年、全力で戦いたい」と述べた。

松竹氏は元党本部職員。先月発売した「シン・日本共産党宣言」(文春新書)で、志位和夫委員長の体制が長く続く党に対し、党首公選の導入などを求めている。「共産党のことを批判をしたくて本を書いたのではない。政治を変えるには共産党が必要。存在の力が発揮できるようにしなくてはという思いからだ」と主張。「代議員が(来年の党大会で)、私の除名はおかしいという声をあげて議論し、私が党員の権利を回復することくらいのことがなければ、党は今後生き残り日本政治の中で大事な役割を果たすことはできない。衰退の道をたどる」と指摘。「出版が分派活動として処分されるのなら、憲法の言論、表現の自由は死ぬ。共産党だって滅びかねない」と、厳しい意見も口にした。

除名処分は「想定していなかったわけではない」という。出版する前に、まずは党内で議論する道があったのではないかと問われると「党内でおかしいといえばよかったというのは悩んだ。私のやり方が100%と考えているわけではないが、自分はこの考えを議論していくのがベターと判断した」と、話した。