8日の衆院予算委員会で、昨年死去した安倍晋三元首相の回顧録がこの日発売されたことを受け、財務省との関係に関する記載について野党側が取り上げるひと幕があった。

立憲民主党の大西健介衆院議員は、第2次安倍政権を大きく揺るがすスキャンダルとなった森友学園問題を振り返ったくだりで、安倍氏が「私はひそかに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は私の足もとをすくうための財務省の策略の可能性がゼロではない」「財務省は当初から森友との取引が深刻な問題と分かっていたはずです。でも私のもとには土地取引の交渉記録など資料は届けられなかった」などと振り返っていると指摘。財務省に事実関係をただした。

鈴木俊一財務相は「故意か故意ではないか別として、資料は届けていなかったようだ」と、資料を届けなかったことを認めた。また、この背景に「安倍おろし」の意図があったのか問われると、「安倍総理が、何をもって『ひそかに疑っている』のか、私が臆測で申し上げるのは適当ではない。コメントのしようがありません」と、述べるしかなかった。

第2次安倍政権で外相を務めた岸田文雄首相は、自身の在任中に財務省による「安倍おろし」を感じたことはあったか問われ「感じたことはない」と述べた。 その上で、財務省との関係については「内閣として、財務大臣のもと、財務省をコントロールして内閣の政策目標を達成するために努力するのがあるべき姿。財務省にも、内閣の一部として責任をはたしてもらうべく、政治としてコントロール、リードしていく責任があると考えている」と述べた。