藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が4連覇を目指す渡辺明名人(38)に挑戦する、将棋の第81期名人戦7番勝負第1局(東京都文京区「ホテル椿山荘東京」)は5日、先手の渡辺が43手目を封じ、初日を終えた。2日目の6日は午前9時、封じ手を開封して再開される。

名人戦初登場でも藤井に違和感はまったくなかった。タイトル戦14回目、和服姿はすっかり板についている。対局開始前に入室して下座に座ると、信玄袋から液晶時計、扇子、ハンカチ、汗ふきシートを取り出す。慣れた動作で所定の場所に置いた。

渡辺とは今年2~3月、棋王戦5番勝負でも対戦している。この時は全局、角換わり腰掛け銀だった。今回は先手渡辺が秘策に出た。角道を止め、矢倉模様からの持久戦にした。

序盤の定跡部分はさっさと進め、前例や研究手順から外れるとペースが落ちる最新型とは違い、じっくりしたペースが続く。封じ手約1時間前の午後5時30分からやっと駒がぶつかるなか、藤井は長考を続けた。

初めてのタイトル戦となった棋聖戦5番勝負で渡辺に挑戦した3年前の6月、続けて王位戦7番勝負にも挑戦した。こちらは初の2日制。「よく考える人だねぇ」。対戦した木村一基王位(当時)はこう評した。

4日の前夜祭では、「タイトル戦で最も長い9時間の持ち時間を使って、ゆっくり考えられるのを楽しみにしています」と話した。史上最年少での名人獲得と7冠がかかる歴史的なシリーズ、「熟慮断行」で開幕勝利を目指す。【赤塚辰浩】