衆院千葉5区、和歌山1区、山口2、4区の補欠選挙が11日、告示された。

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昨年の参院選中に銃撃された安倍晋三元首相の死去に伴う山口4区補選には5人が立候補した。安倍氏の後継に位置づけられる自民党の吉田真次氏(38)と、「安倍政治の検証」を争点に掲げる立憲民主党の有田芳生氏(71)による、事実上の一騎打ちとなる。

吉田氏は下関市での出陣式で「志半ばで命を絶たれた安倍先生の無念さ、魂を皆で継いでいく戦い。開票日に、天上の安倍先生から『みんなの力を借りてよく頑張った』と言ってもらえるような戦いをしたい」と声を詰まらせた。「黙せず闘う」をキャッチフレーズにした有田氏は下関市の遊説で、銃撃事件で表面化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と安倍氏や自民党との関係、アベノミクスの公正な評価が必要と主張。「安倍さんの後継者は勝利が前提。私は(山口4区の)岩盤にキリで穴をあけて広げていく戦い」と表現し「本当に多くの人が手を振ってくださり、面白い戦いになる。選挙は勝たないといけない。勝ちます」と手応えも口にした。応援に入った蓮舫参院議員は「安倍さんの弔い選挙ではないんです。自民党と旧統一教会の問題にふたをしてはいけない」と訴えた。

山口4区は次の衆院選から新3区に編入され、仮に吉田氏が勝っても現3区の林芳正外相との候補者調整が必要だ。大票田の下関市は安倍、林両氏の父が議席を激しく争った因縁の地。吉田氏陣営は、前回衆院選で安倍氏が獲得した8万448票を「最低ライン」とみるが、安倍氏の得票数も選挙のたびに減少していたため、自民党内には「安倍氏本人の選挙でもない。ハードルは高い」の声も。吉田氏には、林氏との「選挙区争い」を見据えたもう1つの戦いも加わることになる。

吉田氏の出馬を後押ししたのが、安倍氏の妻昭恵さんだ。「圧倒的な勝利で国政に送り出してほしい。私も主人のために頑張ります」。大粒の涙を流し、支持を訴えた。【中山知子】

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