藤井聡太叡王(竜王・王位・棋王・王将・棋聖=20)が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける、将棋の第8期叡王戦5番勝負第2局が23日、名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われた。午前9時から始まった対局は、三間飛車を開幕局に続いて採用して穴熊に囲った先手菅井が午後5時56分、115手で快勝し、対戦成績を1勝1敗とした。タイトル戦で初めて穴熊を採用した後手の藤井は対応ミスが響いた。第3局は5月6日、名古屋市「か茂免」で行われる。

菅井が巧みな指し回しを見せた。「研究してない形で難しい中盤になった」と終局後に話したが、押したと思えば引いて藤井を翻弄(ほんろう)する。主導権を奪っただけでなく、相手にうまく時間を消費させた。70手目、1手60秒未満で指さなければならない1分将棋となった藤井に対し、落ち着いて局面を読む。「最後(115手目)の先手6五角で勝ったと思いました」。藤井穴熊を攻略した。

第1局は落としたが、先手番の今局をキープした。昨年8月のA級順位戦に次いでの会心譜だ。藤井から通算4勝目は、大橋貴洸七段と並び3位タイ。トップの豊島将之九段の11勝、永瀬拓矢王座の5勝に続く。振り飛車党としては久保利明九段の3勝を抜いて、勝ち頭に躍り出た。

これで改めての3番勝負になる。「精いっぱい頑張りたいと思います」と、第3局に頭を切り替えていた。

 

◆先手叡王(えいおう)戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。タイトル序列は竜王、名人、王位に次いで4番目(以下王座、棋王、王将、棋聖)。主催は不二家。特別協賛・ひふみ。協賛・中部電力、豊田自動織機、豊田通商、日本AMD。2015年(平27)に一般棋戦として第1期を開催。第3期以降、王座戦以来34年ぶりにタイトル戦に昇格した。歴代獲得者は高見泰地、永瀬拓矢、豊島将之、藤井聡太と毎回交代したが、昨年5月に藤井が初防衛を果たした。段位別予選(四・五段各1、六・七段各2、八・九段各3)の突破者と、シードの計16人による勝ち抜き戦で挑戦者を決める。主催の不二家が「糖分補給」のアシストを兼ねて、午前10時と午後3時におやつを両対局者に提供する。

 

【第8期叡王戦5番勝負第3局以降の日程】

◆第3局 5月6日、名古屋市「か茂免」

◆第4局 5月28日、岩手県宮古市「浄土ケ浜パークホテル」

◆第5局 6月17日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」

 

<主催>不二家、日本将棋連盟

<特別協賛>ひふみ

<協賛>中部電力、豊田自動織機、豊田通商、日本AMD