「平成の水戸黄門」と親しまれ、厚相や自治相、民主党最高顧問などを歴任し20年8月23日に88歳で死去した元衆院副議長、渡部恒三さんをしのぶ会が22日、都内のホテルで営まれた。

自民党の麻生太郎副総裁や二階俊博元幹事長、小泉純一郎元首相、立憲民主党の泉健太代表、小沢一郎衆院議員、ジャーナリスト田原総一朗氏など、与野党の国会議員や各界の関係者が参列し、別れを惜しんだ。

あいさつした野田佳彦元首相は、旧民主党時代に起きた偽メール問題で自身が国対委員長を辞任した際、早大の先輩でもある渡部氏が後任を引き受けてくれた経緯を回顧。「誰もやりたくない火中の栗を拾っていただいた。不肖の後輩の尻ぬぐいでお骨折りいただいたご恩は、生涯忘れない」と話した。また二階氏は「初当選のころからお世話になった。語り尽くせない思い出がある」と振り返った。会の発起人にも超党派の議員が名を連ねた

渡部氏は1969年(昭44)の衆院選で初当選。自民党竹下派の「七奉行」の1人に数えられた。1993年に自民党を離党し新生党、新進党などを経て、民主党に入党。新進党時代の1996年に衆院副議長に就任し、2003年まで歴代最長となる通算約7年務めた。国会議員として14回当選。2012年11月に政界を引退後も「政界のご意見番」として活躍した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都内での会の開催はこの日まで延期されていた。会では、55年の政治家人生を振り返る映像も流された。家族を代表して、長男で政治学者の渡部恒雄氏があいさつし「俺は人に恵まれたと生前、話していた。なんて幸せな政治家生活だったのかと思う」と語った。【中山知子】