渋谷駅のJRと井の頭線をつなぐ通路上に掲げてある長さ30メートル、高さ5・5メートルの大壁画が10日から修復作業に入った。これは昭和の天才画家岡本太郎氏の作品「明日の神話」で1969年9月にメキシコで完成したもの。改修工事は11月20日まで。
2008年11月から渋谷マークシティ内の連絡通路の壁面に掲げられている。渋谷に飾られてから15年となりひび割れや色落ちなど劣化が進んだことで改修工事に取り組むことになった。作品を保全している「明日の神話保全継承機構」が9月22日から1800万円を目標額にクラウドファンディング(クラファン)を行っており、残り51日となった10日正午時点で1645万7500円の寄付(目標額の約91%)となっている。
同機構の西村友伸理事長(76)は、岡本太郎氏のパートナーだった敏子さんと交友があった。西村さんはこの壁画を渋谷に誘致する活動で地元商店街などとまちぐるみで取り組んでいたこともあり、現在「明日の神話」を守っていくことに尽力している。
この壁画がメキシコの資材置き場に置かれていた情報が入り、敏子さんが真贋(しんがん)を確認した経緯があった。メキシコシティーのホテルに「明日の神話」が飾られる予定だった。その後、壁画の所在が分からなくなっていた。
西村さんは「欠損した部分は絵画修復家の吉村絵美留先生に復元してもらっている」と解説し「そこから15年。特にこの2~3年の猛暑で、壁画の劣化がさらに進んでしまいました。このタイミングしかない、というところで改修工事を着工できた」と話す。
西村さんは大手企業にスポンサーになってもらうだけではなく、一般市民に参加してもらうことを目的としてクラファンによる資金集めにこだわった。「この連絡通路は1日に30万人以上が行き来するらしい。多くの方々に見守られている作品。こんなに短期間で資金が集まったのは素晴らしいし、本当に感謝しています」と話した。同機構では目標額を1800万円より高く切り替える「ネクストゴール」を近々設定するという。【寺沢卓】

