政治アナリストの伊藤惇夫氏は19日、TBS系「ひるおび」(月~金曜午前10時25分)に出演し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて18日の衆院政治倫理審査会に出席した下村博文元文科相から、真相解明につながるような内容が一切語られなかったことに言及した。

伊藤氏は、下村氏が安倍派幹部グループ「5人組」と距離があったことや、かつて森喜朗元首相の影響の大きさを批判的に論じていたことを念頭に「勝手に期待していたんだろうなと思うが、結果を見るとやっぱりという印象が強い」と、期待外れに終わったことを指摘。その上で「下村さんは森さんに対し(昨年9月のネット番組で)『人事を語るなら国会議員をやったらいかがか』とまでおっしゃっていた」と、安倍晋三元首相の死去後、集団指導体制に移行した安倍派の人事に、森氏の影響があったとされることに踏み込んだ下村氏の発言に触れた。

「このことはかなり重要。集団指導体制に移行した時の人事は森さんがやったということを、下村さんはおっしゃっている。森さんの影響力がその時点までは、かなり強かったことは間違いない」と指摘した。

その上で、安倍氏が会長就任後の2022年4月、派閥内で続いていた裏金キックバック(還流)廃止を決めながら、安倍氏の死去後の幹部協議をへて復活した流れを踏まえ「安倍派のみなさんが尊敬し、慕っていた安倍さんが中止と打ち出したにもかかわらず、お亡くなりになった直後、逆らうような決断をだれかがしている」「いったいだれなんだろう」と思わせぶりに言及。「ふっと思ったのは、安倍さんの意向を無視してまで継続を決めるような影響力のある人はもしかしたら、国会議員ではない人かなと。昨日の下村さんも、一切、森さん(の話題)に触らない。何かあるのかなと改めて思った」と指摘。キックバック復活の背後に、森氏の存在が影響していたのではないかとの推測を披露した。

MCの恵俊彰に「そんなに森さんてまだ、影響力があるんですか」と問われた伊藤氏は「実際に安倍派の集団指導体制体制の人事をやったのは森さんなんでしょ? 党全体かは別として、安倍派に関して非常に強い影響力、権限を今でも持っていると考えるのが自然」と解説した。「安倍さんより決定権限が強い人がもし、いるとすれば、やっぱり森さんなんです。類推すれば、もし森さんが(森派)会長時代にこのシステムを導入したとしたら、なおさら、自分が導入したものをなぜやめるんだという話に、普通はなります」と述べ、「あくまで推測ですけどね」と付け加えた。