自民党安倍派に所属した世耕弘成前参院幹事長は29日、国会内で取材に応じ、自民党の派閥パーティー裏金事件をめぐり、2022年3月に安倍派幹部による会合があったことを認めた。これまで同年4月より前の幹部会合については、明らかになっていなかった。

この会合には細田博之衆院議長(当時)、安倍派会長だった安倍晋三元首相、西村康稔前経産相と世耕氏の4人が参加していたが、世耕氏は会合のテーマは選挙に関してのもので、キックバック(還流)についての協議ではないと訴えた。

世耕氏は今月14日の参院政治倫理審査会(政倫審)で、立憲民主党の蓮舫参院議員に「3月に安倍会長に呼ばれ、会館事務所で何らかの話し合いを持った記憶はございませんか」と問われ、「スケジュール帳にも記憶にも残っていない」と否定した。このことについて世耕氏は「3月に安倍会長と会館でそういう話をした覚えはなかったので、記憶はないと申し上げた。日程表にも載っていなかった」とした上で、再度22年3月の日程表を精査し、3月22日の午後3時から約20分、衆院議長公邸で細田、安倍、西村各氏と打ち合わせをしたことが確認されたと主張。同年の参院選をめぐる候補者調整で細田氏に支援の相談をしに行ったものと述べ「派閥のパーティーについては全く議論していない」と否定した。

この日程は、PDFの形で残しているスケジュールを1枚1枚点検して分かったとも主張した。

政倫審での蓮舫氏とのやりとりをめぐる自身の主張内容については「全く間違っていない」と断言。「会館事務所で(安倍氏らと)打ち合わせをしたのかという質問だった。この打ち合わせは(議長公邸で行われ)それに該当しない」と述べた。「私も、全部の日程を覚えているわけはない。毎日、20~30件の会議が入っている。今回(22年1月の会合に)細田議長が同席され、安倍さんもいたと報道があったので、もう1度そのキーワードを検索したらこれが出てきた」「その時、だれが何を言ったかまでは覚えていない」とも述べた。

西村氏も国会内で取材に応じ、22年3月の会合への参加を認めたが、世耕氏同様に同年の参議選に関する打ち合わせだったと述べ、キックバックについては協議していないと否定した。

野党はこの時会合で、キックバックについて協議されたのではないかとみている。28日の参院予算委員会では、立民の辻元清美議員が、世耕氏の政倫審での発言とずれがあるのではないかと指摘していた。