藤井聡太名人(竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が初防衛を目指して豊島将之九段(33)の挑戦を受ける、将棋の第82期名人戦7番勝負第1局が10日午前9時からの2日制で、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で始まった。

先手の藤井は、同学年の伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける叡王戦5番勝負と防衛戦をかけ持ちしている。本年度初戦となった7日には、叡王戦の開幕局(名古屋市)を制し、こちらは4連覇に向けて好スタートを切った。

「対局間隔が詰まった方がいい」と、2017年(平29)の新人時代から話している。新型コロナウイルスの緊急事態宣言明けとなった20年6月には9戦して8勝1敗。この間、棋聖戦と王位戦の挑戦権を初めて立て続けに獲得し、2つのタイトル戦をかけ持ちした。翌7月も強行軍は続いた。9日に都内で行われた棋聖戦第3局に敗れた後、12日に札幌市へと移動。13~14日と王位戦第2局を戦い、15日に大阪市へと移動し、16日に初タイトルとなる棋聖を獲得した。この時の強行日程をこなせたことが、大きな自信となっているという。

昨年の名人獲得も、強行日程だった。5月28日に叡王戦5番勝負第4局(5月28日、岩手県宮古市)で2回の千日手指し直しの末に勝って防衛を果たし、29日に三陸鉄道宮古駅の一日駅長をこなした後、30日に名人戦第5局の会場となる長野市高山村に移動。31日、6月1日と戦って頂点を極めている。今回も体調管理に努め、よい状態で臨むはずだ。

持ち時間は各9時間。初日の封じ手は午後6時30分の時点で手番の側が行う。昼食休憩は両日とも正午から午後1時。2日目は午後5時から30分の夕食休憩がある。両日ともに午前10時と午後3時におやつが出される。決着は11日夜の見込み。

【動画】1秒、2秒、3秒…両者深々と長い礼 そして藤井聡太名人はいつも通りのお茶!