JR五能線を旅してきた。秋田・東能代駅から青森・川部駅までの日本海沿岸147・2キロを結ぶ。来年で全通90年を迎える。車窓から見える荒々しい岩浜、沿線グルメなど、まだまだ知られていない観光要素もいっぱいある。秋田駅始発の観光列車「リゾートしらかみ」に乗車。途中駅での立ち寄りもしながら、秋田・青森ウエストコーストを弘前市へと向かった。

最初に降り立ったのは東能代駅。ここで奥羽本線から五能線へと入る。待合室は、リゾートしらかみで3タイプある車両の1つ、「くまげら」の先頭部分をモチーフとしている。

次の能代駅のホームではバスケットボールのフリースロー体験ができる。多くの人がチャレンジしていた。

能代といえば、全国制覇58回(内訳は選抜&ウインターカップ20回、高校総体22回、国体16回)を誇る能代工(現能代科学技術)のある場所だ。能代工は、バスケ漫画「SLAM DUNK」の山王工業のモデルでもある。

記者は1986年(昭61)5月から約4年、東北支社に勤務し、能代工バスケットボール部もよく取材した。速攻主体の平面バスケでチームの基礎を作り、強豪校へと鍛え上げただけでなく、多くの日本代表選手や指導者を育てた加藤廣志先生には、選手のこともいろいろと教えてもらった。

「ようこそ、ニッポンのツベット(チベット)へ」。学校を訪れると、秋田弁でこう言いながら、「大将」(部員にはこう言われていた)こと、加藤先生が右手を差し出し、握手を求めた姿が思い浮かぶ。

87年と88年にはウインターカップの前身である選抜大会での優勝原稿も書いた。特に88年3月に神戸市で行われた選抜大会は、三浦、関口と能代工が誇る大型選手が相次いで5ファウルで退場。苦しみながら北陸(福井)の猛追を振り切り、優勝したシーンが思い浮かぶ。

多くの人にとって能代工といえば田臥勇太、加藤先生の後継者としてチームを率いた加藤三彦氏かもしれない。ホームには高校時代の勇姿のパネルも飾ってある。駅の改札口左側には、能代工のユニホームも飾ってある。記者にとっては、やっぱり大将である。その大将と11年前、意外な形で再会した。