「解党的出直し」に向けた自民党総裁選は22日、告示され、小林鷹之・元経済安保担当相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗・前経済安保担当相(64)、小泉進次郎農相(44)の5人が立候補した。進次郎氏の出陣式には代理を含め92人が出席。党員人気が高い高市氏との「ツートップ」を、3人がどう追い上げるかが焦点。第一声となる立会演説会では、5人5色の主張が展開された。新総裁は10月4日に選出される。

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総裁選初日、政治を語る上で重要な「数の力」を見せつけたのは、進次郎氏だった。昼に行った出陣式には、ベテランから中堅若手まで、代理も含めて92人(陣営発表)の国会議員が出席。昨年の総裁選の1回目投票でトップだった自身の議員票75をも上回り、陣営関係者も「多い数字だと思う」と口にした。

16年前、2009年衆院選で敗れて党が政権を失い野党に転落した際に総裁に選ばれ、結束を最優先に党内融和に腐心した谷垣禎一元総裁(80)に言及し「谷垣総裁の姿勢を体現できるよう、全力を尽くしたい」と訴えた。立会演説会では「政策を華々しく打ち上げる前に、国民との約束を一致結束して進めること(が大切)だ」と述べ、ほかの4候補の長所にも1つ1つ触れた。石破茂首相が昨年の総裁選で得た「石破票」の行方が注目される中で、5人の中唯一、まもなく退陣する首相の労をねぎらった。

その演説会で異彩を放ったのは、高市氏だ。冒頭で「奈良の女です。大和(やまと)の国で育ちました」と述べ、奈良を代表する鹿の姿を描いた奈良時代の歌人、大伴家持の歌を「高円のお~ 秋野の上の 朝霧にい~…」と、朗々と詠み上げた。外国人問題に言及する際の「前説」だったが、他の4人とは一線を画す独自の演出を披露した。

一方、小林氏は「チャレンジャー」、茂木氏は「逆風の先頭に立つ」と訴え、「ダークホース」との見方もある林氏は、政権中枢での経験をアピールした。

告示前の各社調査では進次郎氏、高市氏の2人が頭ひとつ抜け、3人が追う展開。ただ、進次郎氏には昨年のような目玉政策の封印や「論戦力」への不安、高市氏も首相就任後の靖国神社参拝継続を明言しないなど、保守層つなぎ留めへの不安も指摘され、展開はまだ見通せない。そもそも、昨年の総裁選と比べ2回の選挙大敗で国会議員票が減り、投票資格のある党員票も100万人を割り込み、「票の争奪戦は、相当に熾烈(しれつ)になる」(党関係者)との見方が強い。

一方で、国民も野党も求める物価高対策が進まない中での、総裁選。一般国民の熱気や関心は、昨年の戦いに比べれば少ない。党の中と外にそんなギャップを抱えながら、5人の論戦が幕を開けた。【中山知子】