多くのジョッキーは、何通りかの作戦を考えてレースに臨む。出遅れたり折り合いを欠くケースもある。不測の事態に備えるためだが、サンライズホープの幸騎手も後方からの競馬はイメージにあった。

たぶん作戦のAパターンは先行策だが、スタートで脚を滑らせたことで、すぐにBパターンへと切り替えた。これが勝因だ。最近は精神的に脆くかわされるとやめるような面を見せており、鞍上も「いつかはこんな競馬がしたかった」と振り返っている。

ある程度、準備ができていたから、その後のレース運びもソツがなかった。スタンド前で馬の少ない後方まで下げ、向正面では周囲に馬がいない状況を作って気分よく走らせた。仕掛けたのは残り800メートル地点。後ろからまくられる前にロングスパートをかけたのも、この馬の気性を考えてのことだ。

馬群の外々を回ってロスの多い競馬だが、集中力を持続させるための最善手。激しく手綱をしごいて4角先頭へ。直線は後続を待たず一気に抜け出した。ポテンシャルが高いのは分かっている。いかに力を出し切るか。それに徹した幸騎手の騎乗が、1年ぶりの復活Vへ導いた。

G3みやこSを制したサンライズホープをたたえる幸英明騎手(撮影・岩下翔太)
G3みやこSを制したサンライズホープをたたえる幸英明騎手(撮影・岩下翔太)