シャールズスパイトは、日本でも馬主資格を持つ米国のチャールズ・フィプケ氏が生産し、所有する米国産の6歳牡馬です。二刀流で、芝のG1のメーカーズマークマイルS(キーンランド、芝1600メートル)に勝っています。調教師のロジャー・アトフィールド氏(83歳)はこれまで1986年のジャパンCに管理馬のキャロティーン(9着)、2010年のエリザベス女王杯にアーヴェイ(16着)を送り、シャールズスパイトはフェブラリーSに参戦する最初の外国調教馬となっています。


その父は日本でもモズスーパーフレア、リエノテソーロ、マテラスカイなどの活躍でなじみのある米国種牡馬スパイツタウン、母は2011年のG1ブリーダーズCフィリー&メアターフ(チャーチルダウンズ、芝2200メートル)の覇者パーフェクトシャール(母の父はサドラーズウェルズ系のパーフェクトソウル)、祖母のレディシャールはG1フラワーボウルハンデ(ベルモントパーク、芝2000メートル)の勝ち馬。母の半兄(伯父)にはG1ウッドバインマイル(ウッドバイン、芝1600メートル)やG1ジョー・ハーシュ・ターフクラシックS(ベルモントパーク、芝2400メートル)を制したシェークスピア(父シアトリカル)、半姉(伯母)にはG2ニューヨークS(ベルモントパーク、芝2000メートル)を制したレディシェークスピア(父シアトリカル)がいます。


シャールズスパイトはこれまでカナダと米国で14戦5勝、2着1回。14戦のうち10戦(4勝)が芝のレースで、残りはオールウエザートラックで2戦(1勝)、ダートは3歳時、4歳時に各1戦しましたが、まだ勝ち鞍はありません。


デビューは3歳時(2020年)7月のウッドバイン競馬場。芝1400メートル戦を逃げ切って、幸先のいいスタートを切りました。2戦目のG3マリーンS(ウッドバイン、AW1700メートル)でも2番手追走から直線先頭に立って優勝、オールウエザートラックをこなして2連勝を飾りました。強気で臨んだG1ウッドバインマイル(ウッドバイン、芝1600メートル)は、さすがに相手が強く7着。この年、最後の実戦となったリステッドのトロントカップS(ウッドバイン、芝1600メートル)は伸びきれず3着に終わり、3歳時は4戦2勝でした。


4歳になって活躍の場をフロリダのガルフストリームパーク競馬場に移したシャールズスパイトは1月のクレーミング競走(ダート1200メートル)に参戦。8番手から徐々に差を詰めたものの5着。勝ち馬はのちに日本に種牡馬として輸入されたミスチヴィアスアレックスでした。この年はケガのため2戦のみで、復帰戦となった12月のクレーミング競走(ガルフストリームパーク、AW1600メートル)も8頭立ての7着に終わっています。


シャールズスパイトにとって最良のシーズンとなった昨年は8戦3勝で6着以下なし。シーズンの幕開けとなった1月のクレイミング競走(芝1700メートル)は2番手から抜け出して優勝。復調の手応えをつかんで2月のG3タンパベイS(タンパベイダウンズ、芝1700メートル)に駒を進め、女性騎手のエマ・ジェーン・ウィルソンを背に中団からの競馬で優勝。そして、迎えた4月のG1メーカーズマークマイルS(キーンランド、芝1600メートル)は後方追走から直線強襲。ゴール寸前に1番人気のメイセンを鼻差かわして待望のG1タイトルをつかみました。

しかし、これ以降は5月のG1ターフクラシックS(チャーチルダウンズ、芝1800メートル)が4着、G3サルヴァトーレマイルS(モンマスパーク、ダート1600メートル)3着、7月のG2コノートカップS(ウッドバイン、芝1400メートル)5着、9月のG1ウッドバインマイル(ウッドバイン、芝1600メートル)も欧州から遠征したゴドルフィンのG1馬モダンゲームズに7馬身離された4着に終わり、4連敗を喫します。


シーズンを締めくくった11月のG1、BCマイル(キーンランド、芝1600メートル)は14頭立ての13番人気でしたが、直線で勝ったモダンゲーム(2022年エクリプス賞最優秀芝牡馬を受賞)に進路をふさがれてブレーキをかける大きな不利がありながら残り100メートルだけで盛り返して4分の3馬身差まで迫る2着に健闘しました。


英国のタイムフォーム誌はこの走りを高く評価して、そのレイティングを120としています。これはフェブラリーS参戦馬の中では最高です。当日、脚抜きのいい馬場になれば、持ち味の決め手がものを言って不思議ありません。初の海外遠征、経験が少なく勝ち鞍のないダートと、課題は少なくありませんが、前走で見せた勝負根性はピカイチ。鞍上に手配されたジョアン・モレイラ騎手の手腕も頼もしく感じます。


フィプケ氏のレーシングマネジャーであるシド・エルナンド氏は「(フィプケ氏が)高額な費用を負担してフェブラリーSに出走させた理由はふたつ。ひとつはダートのG1に勝つため、もうひとつは(馬を売るつもりはないものの)シャールズスパイトの種牡馬としての魅力をアピールするため」とコメントしています。

(ターフライタ奥野庸介)競走成績等は2023年2月17日現在

千歳空港の雲丹いくら丼で終わる(笑い)
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