騎乗が危ぶまれたダービーの舞台裏とは-。「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は、井上力心(よしきよ)記者が津村明秀騎手(40)に上半期の総括を聞いた。怒濤(どとう)の日本ダービーをはじめ、キャリアハイの重賞5勝、自己ベストペース年間勝利を積み重ねてきた充実の上半期を振り返る。
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どうにかダービーに乗ってほしい。私をはじめ日本中のファンが気が気ではなかったのではないだろうか。ダービー前日の土曜東京7Rで津村騎手は前の馬に触れて落馬し、左足を負傷。担架で救護室に搬送され、その日は以降の騎乗を取りやめた。師匠の鈴木伸師をはじめ、多くの調教師、騎手仲間が心配そうに様子を見に行っていた。「落ちた時は正直、『終わった』と思いました。『何してんだ』と思った」。一時は乗れないことも頭をよぎった。
幸いにも骨には異常がなく打撲の診断が下された。痛みを和らげようと救護室では懸命な治療が施されていた。「骨が折れていない時点で乗らない選択肢はなかったです。救護の方の初期対応がすごく良くて、あれがなかったら乗れていなかったかもしれない。患部を圧迫しながら冷やすという処置を2時間くらいやってもらって、それが良かった。調整ルームでもトレーナーさんにやってもらって、本当に皆さんのサポートのおかげです」と感謝し切れない思いを語る。「朝起きてこれなら大丈夫だなと。『良かったぁー』と思いました」。
昼休みのジョッキー紹介では名前を呼ばれると足を大きく上げて走りながら登場し、一番の大歓声を浴びた。「大丈夫だということをアピールしたかった」とのメッセージが込められていた。
2番人気に支持され迎えた大一番。どよめきに包まれながら積極果敢に先行し、先頭で最後の直線を迎えた。人馬とも死力を尽くしたが頂点には届かず7着だった。「馬は全力を尽くして踏ん張ってくれた。大歓声の直線は最高でした。すごくいい経験をさせてもらいました」。敗戦を糧に夢を追う戦いは続く。
重賞勝利は自己ベストを更新中。年間勝利数もキャリアハイペース。過去一番の充実をたどるも現状に満足することはない。「数字上でみると重賞も5勝してキャリアハイも行きそうですが、落としたレースも結構あります。1つはロデオドライブ(NZT2着)。あそこで結果を出せなかったので(NHKマイルCに)乗れなかった。やはり結果が全て。チャンスをつかめないとだめ」と悔しさをにじませる。
夏は福島、新潟を中心に騎乗。昨夏はリアライズシリウスと新潟2歳Sを制し、クラシックのパートナーとなった。「(来年につながる)2歳戦もあるし、気持ちも高まります。暑い方が好きですね。夏にもっとアピールして秋につなげていきたい」。上半期の勢いをこの夏ますます加速させる。(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)





