5番人気エリカヴィータ(国枝)が前走フェアリーS10着から巻き返し、JRA重賞初勝利を挙げた。

直線で2頭の間を割り逃げ粘るパーソナルハイをゴール前で3/4馬身差、差し切った。14年サングレアルに並ぶキャリア最少3戦目のフローラS制覇で、勝ちタイムは2分0秒4。

オークス(G1、芝2400メートル、5月22日=東京)の有力候補に名乗りを上げ、国枝厩舎は桜花賞4着サークルオブライフとの強力2頭で挑む。

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雨の降る東京で、エリカヴィータの勝負根性が光った。好スタートを決め、前を行くパーソナルハイ、シンシアウィッシュを見ながら終始、好位のインをキープ。直線では内から馬群を割って鋭く抜け出し、ゴール手前で2着馬を捉えた。初コンビを組んだ田辺騎手は「開幕週だし、何もなければ好位を取りたいと思っていて、イメージ通りのポジションをキープできた。最後は狭いところをガッツある感じで抜け出してくれた」。国枝師は「直線で押し込められたけど、あそこを割ってくるんだから。競馬で一番重要なものを持っているよね」とたたえた。

3カ月ぶりの一戦はフェアリーSの敗戦を糧にした。その前走は出遅れて後方の位置取りになった。4コーナーでは、他馬と接触する不利を受けて10着に大敗した。鞍上は「前走は不利もありましたし、精神的に気が立っているところがあって、出遅れとかもあった中での敗戦でした。ゲート練習だったり、いろいろ今日に向けて準備してくれた部分があると思います」と厩舎サイドの努力に感謝した。

良血馬の飛躍に夢が膨らむ。母の全兄はG1・2勝キンシャサノキセキ。キングカメハメハ産駒最後の上場馬として注目され、20年セレクトセール1歳馬部門では1億7000万円(税抜き)の高値がついた。新馬勝ちした東京に替わり、素質を存分に見せつけた重賞勝ちに国枝師は「レース後も雰囲気がいいからね。400メートル延びても大丈夫。東京も走れたし、本番へ向けて楽しみだよ」と大舞台を見据えた。2歳女王サークルオブライフに続くオークスの有力候補に。国枝厩舎から新たなヒロインが誕生した。【三嶋毬里衣】

◆エリカヴィータ ▽父 キングカメハメハ▽母 マルシアーノ(フジキセキ)▽牝3▽馬主 三木正浩▽調教師 国枝栄(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 6005万円▽馬名の由来 冠名+命(イタリア語)