これが黄金船だ! 2番人気ゴールドシップ(牡6、須貝)が、現役最多のG1・6勝目を挙げた。同レース3度目の挑戦で初勝利。最後方から驚異のロングスパートで他馬を圧倒した。2着はフェイムゲーム(牡5、宗像)。1番人気のキズナ(牡5、佐々木)は7着と沈んだ。
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ゴールドシップは視線を、独り占めにし続けた。尻っぱねしてゲート入りを嫌い、待たせること3分。最後は目隠しまでして、ようやく態勢を整えた。結局二の脚がつかず、最後方に白い馬体を収める。昨年の敗戦を思い起こさせる位置取り。詰めかけた7万人超がどよめく。
馬なりで迎えた2周目の向正面。ここからが違った。横山典騎手が、手綱を強くしごき始めた。「僕はお願いする立場。馬を気分よく走らせるだけ」。そう繰り返し、馬本位の騎乗を続けてきた名手が「命令」を下した。怪物が動きだすと外から1頭、また1頭と各馬をのみ込み、3角過ぎで好位へ。動きだした各馬を体力比べに引き込んだ。残り50メートルで先頭へ。最後は鉄壁の心肺能力で切れ味勝るフェイムゲームを首差封じた。
「秘策がある」。前走阪神大賞典で、右前蹄球を負傷。1度は出走回避へ大きく傾いた陣営に、横山典騎手がささやいた言葉だ。無理を強いることは決してない。「馬の引退までを考えてやらなきゃ。点じゃない、線なんだ」。そんな信条を持つベテランの重いひと言。須貝師も「秘策があろうとなかろうと…。ノリちゃんが行きましょうと言ってくれたことが大切」と即決した。レースへ、そしてレースでもゴールドシップを導き、つかんだ勝利。「無理を言ったし、プレッシャーもあった」。重圧に打ち勝ち、馬上の職人は得意げに両手を突き上げた。
ゲート再審査の関門は控えるが、その先には連覇中の宝塚記念が待っている。鞍上は「今日は、僕とゴールドシップの我慢比べだった。えぇ、ゴールドシップが勝ちましたよ」とジョークを交えながらも、「何も注文はありません。このまま無事で走ってくれればいいですね」とうなずいた。まだまだ、底が見えない。【柏山自夢】
◆ゴールドシップ ▽父 ステイゴールド▽母 ポイントフラッグ(メジロマックイーン)▽牡6▽馬主 合同会社小林英一ホールディングス▽調教師 須貝尚介(栗東)▽生産者 出口牧場(北海道日高町)▽戦績 25戦13勝(うち海外1戦0勝)▽総収得賞金 13億9776万7000円▽主な勝ち鞍 12年共同通信杯(G3)皐月賞(G1)神戸新聞杯(G2)菊花賞(G1)有馬記念(G1)13年阪神大賞典(G2)宝塚記念(G1)14年阪神大賞典(G2)宝塚記念(G1)15年阪神大賞典(G2)▽馬名の由来 黄金の船
(2015年5月4日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

