アイルランドの天才調教師、エイダン・オブライエンが英オークスを勝ったチューズデー(牝3、父ガリレオ)を今週末に行われる愛ダービー(G1、芝2400メートル、25日=カラ)へ追加登録することがわかった。21日、レーシングポスト電子版など現地メディアが大きく報じている。

これまでに史上最多14度の愛ダービー制覇を果たしている天才トレーナーだが、勝たせてきたのはすべて牡馬。牝馬で勝てば自身初、94年のバランシーン(ゴドルフィン所有、デットーリ騎乗で同年の英オークス馬)以来28年ぶりの快挙となる。追加登録料は7万5000ユーロ(約1070万円)。チューズデーはG1・7勝を挙げた名牝マインディングの全妹という良血で、デビューから5戦2勝。今年3月に初勝利を挙げ、その後は英1000ギニーで3着、愛1000ギニーで2着に入り、前走英オークスでG1初制覇を果たしている。オブライエン師は「英オークスでよく走ってくれましたが、その後、想像以上に彼女は良くなっています。週をおうごとに肉体が成長しています」と参戦の理由を語っている。

当初予想されていたバリードイル陣営(A・オブライエン厩舎)の有力馬は英ダービー6着のストーンエイジ、ロイヤルアスコット開催のG2キングエドワード7世Sを勝ったチェンジングオブザガードだったが、ストーンエイジは古馬相手のエクリプスSに向かう方針。オブライエン師は追加登録するチューズデーの鞍上に主戦のライアン・ムーアを起用することを示唆しており、ブックメーカーの単勝前売りオッズは急浮上している。22日早朝時点で「ラドブロークス」社はチューズデーに単勝2・5倍の1番人気の評価を与えている。

「ラドブロークス」社が単勝2・75倍の2番人気にしているのは、英ダービー3着のウエストオーバー(牡3、R・ベケット)。英ダービーは直線で詰まる痛恨の不利があり、今回はホーンビー騎手からアイルランドのリーディングジョッキー、コリン・キーンへの手替わりで勝負に出てきた。

悲願の愛ダービー初制覇がかかる鞍上ムーアとともに、チューズデーが歴史的な勝利を挙げることができるのか、追加登録はオブライエン師の英断となるのか…、英オークスでチューズデーと短頭差の激闘を演じたエミリーアップジョンが凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)の有力馬となっていることからも、今年の愛ダービーは見逃せないレースになりそうだ。