国内最大の競走馬のセリ「セレクトセール2022」の2日目、当歳部門が12日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。

◆解説

大きな投資の成果が好循環を生んでいる。今年、セレクトセールの落札総額は2日間で初めて250億円を超えた。19、21年に続いて3回目の200億円突破。1歳馬の平均落札額5797万円、当歳馬の同5730万円、そして落札率95・3%はいずれも過去最高。円安効果による海外バイヤーの参戦も想定していたが、2日間で8頭の落札にとどまった。額面だけ見れば高いセリでも、正当な評価が上場馬の落札額を引き上げているのだと感じる。

価格高騰はホースマンの熱意が反映されたものだ。億超えした当歳馬28頭の母、祖母の出自は大半が海外。欧米のセリで牧場関係者が数千万から億単位の金額を投じて、繁殖牝馬を落札。南米からはエージェントを通じて、厳選された牝馬を購買している。元ノーザンファーム場長の秋田博章氏(現キャロットファーム社長)は「種牡馬の質が上がった上で、いろんな国の牝馬をミックスしている。馬たちの底上げにつながりますよね」と話す。

例えば、この日の最高額3億2000万円を記録したシャンパンエニワンの22(牡)の母は19年秋に米ファシグティプトン社のノベンバーセールで75万ドルにてノーザンファームの吉田勝己代表が落札した馬。同代表は「世界中のセールに人を送って、大きな投資をしている。それでいい馬が出て、利益が生まれてさらに投資ができる。やり続けないと。生き残りをかけて、アンテナを張って」と挑戦の意志を前面に出す。

同牧場は昨秋の同セリでも6頭の繁殖牝馬を購入するために、1300万ドル弱の大金をかけた。ノーザンファームだけではない。血の停滞を避け、新風を求め続けることが目新しさと質の向上をもたらす。常に意識は世界に追い付け、追い越せ。いずれ落札総額の天井はやってくるだろうが、しばらくは馬の質同様、金額も上がり続けるだろう。【松田直樹】