泥だらけの白星で“白毛対決”が実現する。ハヤヤッコ(牡6、国枝)が白毛馬史上初のJRA芝・ダート両重賞制覇を決めた。

雨を含むタフな洋芝を味方に好位から抜け出し、19年レパードS以来の重賞2勝目。勝ち時計は2分3秒6。今後は札幌記念(G2、芝2000メートル、8月21日)へ向かう予定で、同じ白毛馬のソダシ(牝4、須貝)との初対決となる。鞍上の浜中俊騎手(33)は函館開幕週の函館スプリントSに続き、開催ラストも重賞勝ちで締め、JRA重賞50勝目を達成した。

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愛くるしい白を汚す泥が、勲章を彩った。レース後の検量室前。ホースの水で馬体を洗ってもらうハヤヤッコの目は、充実感に満ちていた。雨を吸った力のいる洋芝を苦にせず芝重賞初勝利。3年前のダート重賞以来、2つ目のタイトルだ。白帽をかぶりゴール後に左拳を突き上げた浜中騎手は「泥んこになってしまいましたけど、白い馬でまた1頭活躍馬が出ましたので、今後も注目してくれればと思います」とたたえた。

流れが完璧にはまった。最内枠から好位へ。荒れた内を避け、重い芝に脚と気を取られる他馬を尻目に、ロスなく立ち回る。3、4角でも外に出せるスペースが空いた。直線で早めに抜け出し、マイネルウィルトスが迫ると闘志に火が付いた。3/4馬身差で1番人気馬を振り切り、7番人気に反発した鞍上は「うまくいきましたね。最後にもう1つ馬が頑張ってくれました」とうなずいた。

白い夢が重なる。次走予定は札幌記念。金子オーナーが育んだシラユキヒメの母系を同じく由来とする、同馬主のソダシとの初対決が実現する。白毛馬の初G1制覇はいとこに譲ったが、同JRA重賞制覇はハヤヤッコ。連覇を狙う“アイドル”に先輩の意地がぶつかる。国枝師は白毛馬の活躍に「金子オーナーのパワーだね」と舌を巻く。浜中騎手は「白毛馬に何度か乗らせてもらいましたが一番背中がいいですね」とハヤヤッコの芝適性を見込む。

“白馬の王子様”を務めた鞍上は17年以来5年ぶりの函館滞在で、重賞を2勝した。開幕週の函館スプリントSでは重量50キロに騎乗するための減量を乗り越え、ナムラクレアで勝利。開催ラストも16年目での重賞50勝目で飾り「久々の函館で大きい2つを勝てて良かったです」と喜んだ。今後は札幌に滞在予定も、札幌記念当日は小倉の北九州記念で騎乗予定。“白馬の-”が替わっても、函館のファンをわかせた純白物語は、北の大地で紡がれる。【桑原幹久】

◆ハヤヤッコ ▽父 キングカメハメハ▽母 マシュマロ(クロフネ)▽牡6▽馬主 金子真人ホールディングス(株)▽調教師 国枝栄(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 29戦6勝▽総収得賞金 1億9620万5000円▽主な勝ち鞍 19年レパードS(G3)▽馬名の由来 速くて白い